共働き夫婦が家を建てるとき、住宅ローンの組み方は「単独」「収入合算(連帯保証型・連帯債務型)」「ペアローン」の4パターンから選びます。
どれを選ぶかで、借りられる金額だけでなく、住宅ローン控除の受け方や団体信用生命保険(団信)の守られ方まで変わります。
一方で、産休・育休や時短勤務で収入が変わる可能性を考えずに組み方を決めると、数年後に家計が苦しくなることもあります。
この記事では、4つの組み方の違いを一覧表で整理したうえで、2026年入居の住宅ローン控除の最新ルールと、収入が変わったときの返済負担まで具体的な数字で解説します。
この記事でわかること
- 共働き夫婦の住宅ローンの組み方4パターンの違いがわかる
- 組み方ごとの住宅ローン控除と団信の違いがわかる
- 2026年入居の控除の借入限度額を理解できる
- 育休・時短で返済負担率がどう変わるかがわかる
- 持分設定で贈与税を避けるポイントを理解できる
共働き夫婦の住宅ローンの組み方は4パターン

共働き夫婦の住宅ローンは、大きく分けると「一人で借りる」「二人の収入を合わせて1本で借りる」「二人で2本借りる」の3通りです。
このうち収入を合わせる方法には連帯保証型と連帯債務型の2種類があるため、実際の選択肢は4パターンになります。
単独・連帯保証型・連帯債務型・ペアローンの違い一覧
| 比較項目 | 単独 | 収入合算 (連帯保証型) | 収入合算 (連帯債務型) | ペアローン |
| 契約の本数 | 1本 | 1本 | 1本 | 2本 |
| 返済義務を負う人 | 契約者のみ | 契約者(配偶者は保証人) | 夫婦2人とも | 夫婦それぞれ自分の分 (互いに連帯保証) |
| 住宅ローン控除 | 契約者のみ | 契約者のみ | 夫婦それぞれ (負担割合に応じて) | 夫婦それぞれ |
| 団信の加入者 | 契約者 | 契約者のみ | 原則1人 (フラット35は夫婦で加入可) | 夫婦それぞれ (自分の借入分のみ保障) |
| 諸費用 | 1本分 | 1本分 | 1本分 | 2本分 |
| 主な取扱い | ほぼ全金融機関 | 多くの民間金融機関 | フラット35・一部の金融機関 | 多くの民間金融機関 |
表のとおり、4つの組み方は「誰が返済義務を負うか」「誰が控除を受けられるか」「誰が団信で守られるか」の3点で違います。
次の章から、それぞれの仕組みとメリット・デメリットを順に見ていきましょう。
単独名義で住宅ローンを組むメリット・デメリット

単独名義は、夫婦のどちらか一方だけが住宅ローンを契約する方法です。
手続きがシンプルで、諸費用も1本分で済むのが特徴です。
- メリット:契約・確定申告の手続きが一人分で済み、家計管理もわかりやすい
- メリット:配偶者が将来、出産や転職で働き方を変えても、ローン契約には影響しない
- デメリット:借入可能額が一人の年収で決まるため、希望の予算に届かないことがある
- デメリット:住宅ローン控除を受けられるのは契約者だけで、一人の税額で控除を使い切れない場合がある
単独名義が向いているのは、夫婦の収入差が大きい場合や、どちらかが出産・育児で退職や長期休業を予定している場合です。
物件を共有名義にせず、契約者の単独所有にしておけば、後述する持分と贈与税の問題も起こりにくくなります。
収入合算で組む場合|連帯保証型と連帯債務型の違い

収入合算は、夫婦の収入を合わせて審査を受け、1本の住宅ローンで借入額を増やす方法です。
同じ「収入合算」でも、配偶者の立場が「連帯保証人」か「連帯債務者」かで、控除と団信の扱いが大きく変わります。
連帯保証型の仕組みと注意点
連帯保証型では、収入の多い方が主債務者として契約し、配偶者は連帯保証人になります。
配偶者の収入は審査に使われますが、配偶者自身は債務者ではないため住宅ローン控除を受けられず、団信にも加入しません。
それでも、主債務者が返済できなくなれば連帯保証人として全額の返済を求められる立場です。
「控除と団信のメリットはないが、返済の責任は負う」という点を、夫婦で理解したうえで選びましょう。
連帯債務型の仕組みと団信「デュエット」
連帯債務型では、夫婦2人がともに債務者となり、1本のローン全額について返済義務を負います。
夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられますが、控除の対象になるのは、夫婦間で決めた負担割合に応じた各自の借入額です。
国税庁も、連帯債務の場合は各人が実際に負担する額を、所得などに応じて合理的に定める必要がある(国税庁 質疑応答事例)としています。
団信は原則として1人しか加入できない金融機関が多いものの、フラット35の新機構団信には夫婦2人で加入できる「デュエット」があります。
デュエットに加入していれば、夫婦のどちらかに万一のことがあった場合、持分や返済割合にかかわらず以後の返済が不要になります(住宅金融支援機構 新機構団信の加入要件・保障内容)。
ただし、デュエットは通常の団信より金利が上乗せされ、3大疾病付きの団信では利用できない点に注意が必要です。
ペアローンで組む場合のメリット・デメリット

ペアローンの仕組みと諸費用
ペアローンは、夫婦がそれぞれ主債務者として別々に住宅ローンを契約し、お互いの連帯保証人にもなる方法です。
たとえば5,000万円を借りる場合、夫が3,000万円、妻が2,000万円というように分けて借り入れます。
- メリット:夫婦それぞれが自分の借入額について住宅ローン控除を受けられる
- メリット:夫は変動金利、妻は固定金利のように、2本で金利タイプを分けてリスクを分散できる
- デメリット:契約が2本になるため、事務手数料・印紙代・抵当権設定の登記費用などが2本分かかる
- デメリット:どちらかが退職・休職しても、その人のローン返済は止まらない
団信は「自分の借入分」しかカバーしない
ペアローンでは夫婦それぞれが団信に加入しますが、保障されるのは自分名義のローンだけです。
たとえば夫に万一のことがあった場合、夫の3,000万円は団信で完済されても、妻の2,000万円のローンはそのまま残ります。
一部の金融機関では、どちらかに万一があれば2本とも完済される夫婦向けの団信を用意しているため、金利の上乗せ幅とあわせて比較するとよいでしょう。
ペアローンと収入合算の違いを、費用やケース別の選び方からさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
| 関連記事 ペアローンと収入合算の違いとは?仕組み・メリット・デメリットを徹底比較 |
組み方の違いがつかめたら、次は税金面で差が出る住宅ローン控除のルールを確認しましょう。
組み方で変わる住宅ローン控除【2026年入居版】

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末のローン残高の0.7%を、所得税と一部の住民税から差し引く制度です。
令和8年度税制改正で適用期限が5年延長され、2026年1月1日から2030年12月31日までの入居が対象になりました(国土交通省 住宅ローン減税)。
新築住宅の借入限度額と控除期間
新築住宅の借入限度額は、住宅の省エネ性能と、子育て世帯・若者夫婦世帯に当てはまるかどうかで決まります。
| 住宅の性能 | 借入限度額 (一般) | 子育て世帯・ 若者夫婦世帯 | 控除期間 |
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 (2026・2027年入居) | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| 省エネ基準を満たさない住宅 | 原則対象外 | 原則対象外 | - |
子育て世帯は19歳未満の扶養親族がいる方、若者夫婦世帯は40歳未満で配偶者がいる方(または40歳未満の配偶者がいる方)を指します。
このほか、合計所得金額が2,000万円以下であることなどの要件があります(国税庁 No.1211-1 住宅借入金等特別控除)。
控除の借入限度額は「一人ずつ」に適用される
共働き夫婦にとって重要なのは、借入限度額が世帯ではなく、控除を受ける一人ひとりに適用される点です。
たとえば夫婦とも30代でZEH水準省エネ住宅を建て、5,000万円を借りるケースで比べてみます。
| 組み方 | 控除の対象額 | 初年度の控除額の上限 |
| 夫の単独名義 (5,000万円) | 夫:4,500万円 (限度額まで) | 夫:31.5万円 (合計31.5万円) |
| ペアローン (夫3,000万円・妻2,000万円) | 夫:3,000万円 妻:2,000万円 | 夫:21万円 妻:14万円 (合計35万円) |
ただし、実際に控除されるのは、その人が納めている所得税と住民税(住民税からの控除は年9.75万円が上限)の範囲内です。
単独名義だと、一人の税額では控除の上限額を使い切れないことがあります。
夫婦ともに一定の収入がある場合は、ペアローンや連帯債務で控除を二人に分けるほうが、控除を無駄なく受けやすくなります。
控除を活かすための借入配分の考え方
- 夫婦それぞれの所得税額と住民税額を源泉徴収票で確認する
- 借入額の配分は、物件の持分割合や実際の負担割合と一致させる
- 13年間の控除期間中に、育休や時短で税額が減る年があることも想定する
たとえば夫の年収が600万円、妻が400万円であれば、借入額も6対4程度に配分すると、二人とも控除を受けやすく、持分との整合も取りやすくなります。
一方で、妻の育休中は妻の所得税がほぼゼロになり、その年は妻の控除がほとんど使えない点も覚えておきましょう。
共働き夫婦の住宅ローン返済額シミュレーション

組み方別の借入額と月々の返済額
夫の年収500万円、妻の年収400万円の共働き夫婦を例に、組み方ごとの借入額と返済額を試算しました。
金利は年1.0%で35年間変わらず、元利均等返済・ボーナス返済なしと仮定しています。
| 借入方法 | 借入額 | 月々の返済額 | 総返済額 | 返済負担率 |
| 夫の単独名義 (年収500万円) | 3,500万円 | 約9.9万円 | 約4,150万円 | 約23.7% |
| 収入合算・ペアローン (世帯年収900万円) | 5,000万円 | 約14.1万円 | 約5,928万円 | 約18.8% |
| 収入合算・ペアローン (世帯年収900万円) | 6,000万円 | 約16.9万円 | 約7,114万円 | 約22.6% |
この例では、収入合算やペアローンにすると、単独よりも1,500万〜2,500万円多く借りる計算になります。
フラット35の審査基準では、年収400万円以上の場合、返済負担率は35%以下が目安とされています。
ただし、審査に通る金額と、無理なく返せる金額は別物です。
ご家庭の条件で試算したい場合は、住宅金融支援機構のローンシミュレーションも活用してください。
育休・時短・退職で返済負担率はどう変わるか
共働きを前提に借入額を決める場合、本当に確認すべきなのは「どちらかの収入が減ったとき」の返済負担です。
上の例で5,000万円(年間返済額 約169万円)を借りた場合、世帯年収の変化によって返済負担率は次のように変わります。
| 世帯の状況 | 世帯年収 | 返済負担率 | 家計への影響 |
| 夫婦ともフルタイム | 900万円 | 約18.8% | 比較的ゆとりがある |
| 妻が時短勤務 (年収300万円に減少) | 800万円 | 約21.2% | 教育費が増える時期は 貯蓄ペースが落ちる |
| 妻が退職・長期休業 (妻の給与収入なし) | 500万円 | 約33.9% | 審査基準に近い水準で、 家計はかなり厳しい |
このように、夫婦の一方の収入がなくなると、同じローンでも返済負担率は2倍近くに跳ね上がります。
ペアローンの場合、休業中の妻名義のローンも毎月の返済が続くため、実質的には夫の収入と貯蓄で二人分を返すことになります。
「どちらか一人の収入になっても返済を続けられるか」を基準に借入額を決めることが、共働き夫婦の資金計画で最も大切なポイントです。
年収に対していくらまで借りるのが安全か、年収別の目安から確認したい方はこちらの記事も役立ちます。
| 関連記事 住宅ローンは年収の何倍まで借りられる?借入可能額と無理なく返せる返済計画の立て方 |
返済計画の目安がわかったら、共働き夫婦ならではの税金と将来のリスクも確認しておきましょう。
共働きで住宅ローンを組むときの注意点|持分・贈与税・離婚

持分割合は資金の負担割合に合わせる
夫婦で住宅を共有名義にする場合、登記する持分割合は、頭金やローンの実際の負担割合と一致させる必要があります。
たとえば5,000万円の住宅を持分2分の1ずつで登記したのに、資金を夫が全額負担していると、妻は2,500万円分の贈与を受けたとみなされるおそれがあります。
| ケース | 持分割合 | 実際の資金負担 | 贈与税のリスク |
| 適正な例 | 夫6:妻4 | 夫6:妻4 | なし |
| 要注意の例 | 夫5:妻5 | 夫10:妻0 | あり |
贈与税は、1年間にもらった財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた額にかかります(国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合)。
また、ペアローンを組んだ後に妻が退職し、妻名義のローンを夫が肩代わりして返済し続けると、その返済額が贈与とみなされる可能性もあります。
働き方が変わったときは、借り換えや持分の見直しを含めて、早めに税務署や税理士に相談しましょう。
離婚時に残る住宅ローンの返済義務
連帯債務やペアローンでは、離婚しても金融機関との契約上の返済義務はそのまま残ります。
財産分与で家をどちらかが取得すると決めても、それは夫婦間の取り決めであり、金融機関との契約は自動的には変わりません。
- どちらかが家を出ても、ローンの返済義務は続く
- 名義や債務者の変更には金融機関の承諾が必要で、残る一人の収入で審査を受け直すことになる
- ペアローンでは、相手が返済を滞納すると、連帯保証人として自分に請求が来る
- 売却して清算しようとしても、ローン残高が売却価格を上回るオーバーローンの状態では売却が難しい
考えたくないことかもしれませんが、夫婦2人で返済義務を負う組み方を選ぶ場合は、こうした将来のリスクも理解しておくことが大切です。
共働き夫婦に合う住宅ローンの組み方の選び方

ここまでの内容をもとに、夫婦の状況別に向いている組み方を整理しました。
| 夫婦の状況 | 向いている組み方 | 理由 |
| 収入差が大きい/ どちらかが出産で退職予定 | 単独名義 | 返済と控除を一人に集約でき、 働き方の変化に左右されにくい |
| 単独では予算に届かないが、 控除は一人分で足りる | 収入合算 (連帯保証型) | 1本の契約で借入額を増やせ、 諸費用も抑えられる |
| 全期間固定金利で、 夫婦とも団信で守りたい | 収入合算 (連帯債務型) +デュエット | 一人に万一があっても ローン全額が完済される |
| 夫婦とも正社員で働き続ける予定/ 控除を最大限受けたい | ペアローン | 控除を二人分受けられ、 金利タイプも分けられる |
判断に迷ったときは、次の4つを夫婦で話し合ってみてください。
- 今後10年の働き方の予定(出産・育休・時短・転職)
- 一人の収入になっても返済を続けられる借入額か
- 住宅ローン控除を二人で受ける必要があるか
- どちらかに万一があったとき、残された家族のローンはどうなるか
テラスホームでは、家づくりの最初の段階で資金計画を立て、建物の性能と予算、住宅ローンの組み方をあわせて検討しています。
たとえば長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅にすると、控除の借入限度額が上がる一方で建築費も変わるため、建物の仕様とローン計画は切り離さずに考えることが大切です。
まとめ|共働き夫婦の住宅ローンは「収入が減っても返せるか」で選ぶ

共働き夫婦の住宅ローンの組み方には、単独・連帯保証型・連帯債務型・ペアローンの4パターンがあります。
組み方によって、借入可能額だけでなく、住宅ローン控除を受けられる人、団信で守られる範囲、離婚や退職時のリスクが変わります。
2026年入居の住宅ローン控除は一人ずつ借入限度額が適用されるため、夫婦ともに収入がある場合はペアローンや連帯債務が有利になりやすい一方、育休や退職で一方の収入が減ったときの返済負担も必ず確認しておきましょう。
ただ、実際には「わが家はいくらまで借りてよいのか」「どの組み方が合うのか」は、収入や働き方、建てたい家の性能によって一軒ごとに答えが異なります。
テラスホームでは、専属のファイナンシャルプランナーがご家族それぞれに合った資金計画をご提案し、住宅ローンの選び方から家づくりまでサポートしています。
共働きで住宅ローンの組み方に迷っているご夫婦は、建物の計画とあわせて、まずは資金計画のご相談からお気軽にお声がけください。
| 共働き夫婦の資金計画、まずはプロに相談してみませんか? 専属FPが、ご夫婦の収入と将来の働き方に合わせた住宅ローンの組み方をご提案します。 |