家族が安心して暮らせる土地を選ぶうえで、ハザードマップの確認は欠かせません。
特に小さなお子さんがいるご家庭では、災害リスクの低い場所で子育てをしたいと考える方が多いでしょう。
ただし、ハザードマップは色を眺めるだけでは読み違えやすく、凡例や想定の条件まで確認して初めて土地選びに使える情報になります。
この記事では、ハザードマップの見方を災害の種類別に解説し、土地探しで実際に使える確認手順と、結果に応じた住宅側の対策まで紹介します。
この記事でわかること
- ハザードマップの種類と閲覧方法がわかる
- 浸水深の色と数値の正しい読み方がわかる
- 土地探しで確認する5つの手順がわかる
- 2028年からの住宅ローン減税の立地要件がわかる
- リスクがある土地で検討できる家の対策がわかる
ハザードマップとは?土地探しで確認が欠かせない理由

ハザードマップとは、洪水・土砂災害・津波・高潮などが起きた場合に、被害が想定される範囲や程度を地図上に示したものです。
市区町村が法令に基づいて作成・公表しており、避難場所や避難経路もあわせて記載されています。
本来は住民の避難に役立てるための地図ですが、これから土地を買う方にとっては、その場所の災害リスクを購入前に知るための重要な資料になります。
| 機能 | 内容 | 土地探しでの使い方 |
| 重ねるハザードマップ | 洪水・土砂災害・高潮・津波のリスクや土地の成り立ちを、1枚の地図に重ねて表示できる | 候補地の住所を入力し、複数の災害リスクを一度に確認する |
| わがまちハザードマップ | 市区町村が作成・公開したハザードマップへのリンク集 | 避難場所や地域独自の情報など、自治体版の詳細を確認する |
重ねるハザードマップでは、2026年7月から、地理院地図に掲載されている指定避難所も表示できるようになりました。
まず重ねるハザードマップで全体像をつかみ、わがまちハザードマップで細部を確認する流れが効率的です。
全国のハザードマップは、国土交通省のハザードマップポータルサイトからまとめて確認できます。
ポータルサイトには、役割の異なる2つの機能があります。
土地購入前にハザードマップを確認すべき4つの理由
ハザードマップの確認が欠かせない理由は、命を守るためだけではありません。
災害リスクの有無は、住宅ローン減税や金利の優遇、保険料など、家計にも直接影響するようになっています。
| 確認すべき理由 | 内容 | 土地探しへの影響 |
| 重要事項説明は契約の直前 | 2020年8月28日から、不動産取引時に水害(洪水・雨水出水・高潮)ハザードマップ上の物件の所在地を説明することが義務化 | 説明を受けるのは契約直前のことが多いため、候補を絞る段階で自分でも確認しておく必要がある |
| 住宅ローン減税の立地要件 | 2028年以降に入居する場合、「災害レッドゾーン」に建てる新築住宅は住宅ローン減税の対象外 | 同じ予算でも、立地によって受けられる税の優遇が変わる |
| 【フラット35】の金利引下げ | 土砂災害特別警戒区域などで新築する場合、【フラット35】Sなどの金利引下げメニューを利用できない | 金利の優遇を前提にした資金計画が成り立たないことがある |
| 火災保険の水災料率 | 2024年10月から、水災補償の保険料率が市区町村ごとに5段階に区分 | 最も高い区分の水災保険料は、最も低い区分の約1.5倍(参考純率ベース) |
重要事項説明の義務化の内容は、国土交通省の宅地建物取引業法施行規則の改正についてで確認できます。
同省は、浸水想定区域に入っていないことをもって「水害リスクがない」と誤解させないよう配慮することも求めています。
住宅ローン減税の立地要件は、国土交通省の住宅税制のページに整理されています。
対象の災害レッドゾーンには、土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、浸水被害防止区域などが含まれます。
なお、建て替えや既存住宅(中古住宅)の取得、リフォームは引き続き適用対象です。
【フラット35】の立地要件は、住宅金融支援機構の【フラット35】Sの立地要件に掲載されています。
火災保険の水災等地は、損害保険料率算出機構の水災等地検索で市区町村ごとに調べられます。
ただし、水災等地は市区町村単位の区分のため、同じ市内でも土地ごとのリスクはハザードマップで個別に確認することが大切です。
購入後に災害リスクが判明しても、土地を手放すことは簡単ではありません。
被災して建物が損壊すると、住宅ローンの返済を続けながら住まいを再建する負担が生じるおそれもあります。
さらに、災害リスクの高さは土地の評価にも影響し、将来売却するときに買い手が見つかりにくくなるおそれがあります。
ハザードマップの確認は、家族の安全だけでなく、将来の資産価値を守るためにも欠かせません。
ハザードマップの見方|災害の種類別チェックポイント

ハザードマップは災害の種類ごとに作られており、読み方のポイントもそれぞれ異なります。
ここでは、土地探しで特に重要な4種類について、どこを見ればよいかを解説します。
洪水・内水ハザードマップの見方
洪水ハザードマップは、河川が氾濫した場合の浸水範囲と深さ(浸水深)を示した地図です。
大雨で下水道や水路があふれる「内水氾濫」のハザードマップも、あわせて確認しましょう。
河川から離れていても、周囲より低い土地には水が集まりやすく、浸水リスクが高まることがあります。
浸水深の区分と配色は、国土交通省の水害ハザードマップ作成の手引きで全国共通のルールが定められています。
| 浸水深 | 地図上の色の目安 | 住宅への影響の目安 |
| 0.5m未満 | 薄い黄色 | 床下浸水程度(大人の膝まで) |
| 0.5〜3m未満 | 薄いピンク | 1階の床上まで浸水 |
| 3〜5m未満 | ピンク | 2階の床上まで浸水 |
| 5〜10m未満 | 濃いピンク | 2階まで水没 |
| 10m以上 | 赤紫〜紫 | さらに高い階まで水没するおそれ |
自治体が独自に作成した地図では色が異なる場合もあるため、必ず凡例と照らし合わせて読み取りましょう。
浸水深のほかに、次の3点も確認してください。
- 想定の前提:「想定最大規模」(1年間に起こる確率が1/1,000程度の大雨)か「計画規模」かで、浸水範囲が大きく変わる
- 家屋倒壊等氾濫想定区域:氾濫流や河岸の浸食によって、木造住宅が倒壊・流出するおそれのある区域
- 浸水継続時間:水が引くまでの時間で、長いほど自宅にとどまるのが難しくなる
家屋倒壊等氾濫想定区域に入る土地では、2階へ逃げる垂直避難では命を守れない可能性があるため、特に慎重な判断が必要です。
また、ハザードマップはあくまで「想定」なので、過去に実際に浸水した記録(浸水実績)もあわせて確認しましょう。
浸水実績の調べ方は、後述の手順4で紹介します。
土砂災害ハザードマップの見方
山地や丘陵地、造成地の近くで土地を探す場合は、土砂災害のリスクを必ず確認しましょう。
土砂災害ハザードマップでは、都道府県が指定した区域が色分けで示されています。
| 区域 | 通称 | 主な内容 |
| 土砂災害警戒区域 | イエローゾーン | 土砂災害が起きた場合に、住民の生命・身体に危害が生じるおそれがある区域。売買時は重要事項説明の対象 |
| 土砂災害特別警戒区域 | レッドゾーン | 建物が壊れ、住民に著しい危害が生じるおそれがある区域。居室のある建物は構造規制を受け、宅地分譲などの開発は許可制 |
規制の詳細は、国土交通省の土砂災害防止法の概要で確認できます。
レッドゾーンで家を建てる場合は、土石などの衝撃に耐える構造が求められ、建築費が大きく上がることがあります。
前述のとおり、住宅ローン減税や【フラット35】の金利引下げの対象外にもなるため、資金面の影響も大きい区域です。
マップでは、「急傾斜地の崩壊」「土石流」「地すべり」といった現象の種類も確認できます。
敷地の一部だけが区域にかかっている場合もあるため、区域の境界線と建物を建てる予定の位置を重ねて確認しましょう。
津波・高潮ハザードマップの見方
海や大きな河川の河口に近い土地では、津波と高潮のリスクも確認が必要です。
浸水深の区分と色の考え方は、洪水ハザードマップと共通です。
津波ハザードマップでは、浸水深に加えて地震発生から津波が到達するまでの時間を確認しましょう。
到達時間が短い地域では、避難場所まで歩いて何分かかるかが土地選びの判断材料になります。
高潮は台風の接近時に起きやすく、浸水が長時間続くことがあるため、浸水継続時間も重要な確認ポイントです。
地震(揺れやすさ・液状化)の見方
地震のリスクは、主に「揺れやすさ」と「液状化」の2つの視点で確認します。
揺れやすさは、防災科学技術研究所のJ-SHIS 地震ハザードステーションで調べられます。
- 今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率:地域全体の地震の起きやすさ
- 表層地盤増幅率:地盤の揺れやすさの目安で、数値が大きいほど揺れが増幅されやすい
- 液状化のリスク:自治体が公開している液状化ハザードマップで確認
埋立地や旧河道、かつての池や沼など、もともと水辺だった土地は液状化のリスクが高い傾向があります。
液状化のマップを公開していない自治体もあるため、次の章で紹介する地形の確認と、地盤調査を組み合わせることが大切です。
土地探しでハザードマップを確認する5つの手順

ここからは、候補地が見つかったときに実際に行う確認の手順を紹介します。
この5つの手順を候補地ごとに繰り返すことで、見落としを防げます。
手順1:候補地の住所で「重ねるハザードマップ」を開く
まず、重ねるハザードマップで候補地の住所を入力します。
町名だけでなく番地まで入力すると、より正確な地点のリスクを確認できます。
洪水・土砂災害・高潮・津波の情報を順に重ね、候補地に色が付いているかを確認しましょう。
住所で検索すると、その地点の災害リスクを文章で表示する機能もあり、地図の読み取りに慣れていない方でも使いやすくなっています。
手順2:凡例を見て色と数値を読み取る
地図上の地点をクリックすると、その場所の想定浸水深などの詳細が表示されます。
候補地だけでなく、前面道路や最寄りの避難場所までの道が浸水しないかも確認しておくと、実際の避難をイメージしやすくなります。
手順3:「わがまちハザードマップ」で自治体版を確認する
次に、わがまちハザードマップから候補地の市区町村のハザードマップを開きます。
自治体版には、内水氾濫の想定や避難場所の一覧など、重ね合わせ表示だけでは分かりにくい情報が載っていることがあります。
たとえば2026年9月時点では、大阪府の寝屋川流域の浸水継続時間(想定最大規模)がデータ修正のためポータルサイトで一時掲載停止となっており、大阪府のページでの確認が案内されています。
このようにポータルサイトと自治体版の両方を見ることで、情報の抜けや古さに気づきやすくなります。
作成年月日も確認し、古い場合は市区町村の防災担当課に最新版の有無を問い合わせましょう。
手順4:地形の成り立ちと過去の災害を確認する
ハザードマップは想定に基づく地図のため、土地の成り立ちや過去の災害もあわせて確認すると判断の精度が上がります。
- 浸水実績:過去の大雨で実際に浸水した範囲の記録で、市区町村のホームページや防災担当課で確認できる(浸水実績図などの名称で公開されていることが多い)
- 地形分類:重ねるハザードマップの「土地の特徴・成り立ち」で、旧河道や埋立地などを確認できる
- 自然災害伝承碑:地理院地図で、過去の災害を伝える石碑などの位置と内容を確認できる
- 過去の空中写真:地理院地図で年代ごとの写真を見比べると、かつて田んぼや池だった場所かが分かる
浸水想定区域の外でも、排水が追いつかずに浸水した記録が残っている場所はあります。
想定と実績の両方を見ることで、地図だけでは分からないリスクに気づきやすくなります。
地盤の強さは見た目では判断できないため、気になる点があれば購入前に建築会社へ相談しましょう。
地盤が弱い土地の見分け方は、次の記事で詳しく解説しています。
関連記事
地盤が弱い土地の特徴とは?強い土地の特徴と選ぶ際のポイントも紹介
地形と地盤の情報を確認したら、最後は必ず現地で確かめましょう。
手順5:現地で高低差と避難経路を歩いて確かめる
最後に、候補地を実際に訪れて、地図だけでは分からない状況を確認します。
最寄りの避難場所まで家族で歩き、小さな子どもを連れても安全に移動できるかをチェックしましょう。
- 周辺の道路や隣地と比べて、敷地が低くなっていないか
- 避難経路に河川・水路・崖など危険な場所がないか
- 夜間でも安全に通れる明るさがあるか
- 複数の避難ルートを確保できるか
- 側溝や水路の状態、擁壁のひび割れや傾きがないか
雨の日に訪れると、水はけの良し悪しや水の流れ方も確認できます。
ハザードマップの結果別|土地の判断目安と家づくりでできる対策

ハザードマップで何らかのリスクが見つかっても、すぐに候補から外す必要があるとは限りません。
大切なのは、リスクの種類と大きさに応じて「避けたい土地」と「対策すれば検討できる土地」を分けて考えることです。
リスク区分別の判断目安
ハザードマップの結果を次のような目安で整理することをおすすめしています。
| ハザードマップの結果 | 判断の目安 | 検討したい対策・確認 |
| 想定区域外 | 検討しやすい | 内水や前面道路の冠水、地盤の状態を念のため確認 |
| 浸水深0.5m未満 | 対策を前提に検討 | 基礎を高くする、敷地を周囲より高くする |
| 浸水深0.5〜3m未満 | 慎重に検討 | 基礎の高上げと盛土、設備の高所設置、寝室や備蓄を2階に配置 |
| 浸水深3m以上・家屋倒壊等氾濫想定区域 | 原則として避けたい | 早めの立ち退き避難が前提となり、建物側の対策には限界がある |
| 土砂災害警戒区域(イエローゾーン) | 慎重に検討 | 斜面との位置関係、擁壁の状態、避難経路を確認 |
| 土砂災害特別警戒区域などの災害レッドゾーン | 原則として避けたい | 構造規制による建築費の増加、住宅ローン減税・金利優遇の対象外 |
最終的な判断は、家族の安全を最優先にしながら、予算や通勤・通学などの条件と照らし合わせて行いましょう。
浸水リスクがある土地で検討したい住宅側の対策
浸水の可能性がある土地でも、建物の工夫で被害を小さくすることはできます。
代表的なのが、想定浸水深より高い位置に床を設ける「基礎の高上げ」と、敷地全体を土で高くする「盛土(かさ上げ)」です。
- エアコンの室外機や給湯器などの設備を、架台で高い位置に設置する
- 分電盤やコンセントの位置を高めにする
- 下水の逆流を防ぐ逆流防止弁を検討する
- 寝室や非常用の備蓄を2階に配置する
盛土をする場合は、隣地への雨水の流れ込みや擁壁の必要性、費用もあわせて確認が必要です。
住宅業界の団体である住宅生産団体連合会も、国土交通省などがオブザーバーとして参加するなかで「住宅における浸水対策の設計の手引き」をまとめています。
ただし、建物側の対策は被害を減らすためのものであり、命を守る基本は早めの避難であることを忘れないようにしましょう。
土地探しでハザードマップ以外に確認すべき情報

災害リスクを確認しただけでは、暮らしやすい土地かどうかまでは判断できません。
次の項目も、あわせて確認しましょう。
| 確認項目 | 主な内容 | 調べ方 |
| 用途地域・法規制 | 住居系か商業・工業系か、建ぺい率・容積率 | 不動産情報ライブラリ、市区町村の都市計画担当課 |
| 地盤 | 地盤の強さ、地盤改良の必要性 | 近隣の調査データの確認、購入前後の地盤調査 |
| 接道・インフラ | 前面道路の幅、上下水道・ガスの引き込み | 役所の道路・水道担当課、現地確認 |
| 周辺環境 | 学区、通学路の安全性、買い物や病院 | 平日と休日に現地を歩く |
| 日当たり・風通し | 周辺の建物との距離、方位 | 時間帯を変えて現地で確認 |
不動産情報ライブラリは国土交通省のサイトで、用途地域などの都市計画情報に加え、防災情報や地価も地図上で確認できます。
候補地の条件をどの順番で比べればよいか迷う方は、次の記事も参考にしてください。
関連記事
土地探しの優先順位の決め方|後悔しないための3ステップ
災害リスクを優先順位のどこに置くかを家族で話し合っておくと、候補地を比べるときに迷いにくくなります。
まとめ|ハザードマップの見方を知って安心できる土地を選ぼう

- ハザードマップは、色だけでなく凡例・想定の前提・区域の種類まで確認して初めて土地探しに使える
- 重ねるハザードマップで全体を確認し、自治体版・浸水実績・地形情報・現地確認で精度を高める
- 2028年以降は、災害レッドゾーンの新築住宅が住宅ローン減税の対象外になるなど、立地が家計に与える影響も大きい
- 災害リスクの確認は、家族の安全と将来の資産価値の両方を守ることにつながる
- 浸水リスクがある土地でも、基礎の高上げや設備の配置で被害を小さくできる場合がある
ただ、実際の候補地では「この浸水深ならどんな対策が必要か」「対策費用を含めて予算に収まるか」など、自分たちだけでは判断しにくい場面も出てきます。
土地は、建てたい家が実現できるかどうかまで含めて選ぶことが大切です。
土地探しの段階から、家づくりのプロと一緒に
The Terrace Home(テラスホーム)では、提携の不動産会社と一緒に、理想の家が建てられる土地探しをお手伝いしています。
土地を買ってから「高さ制限でロフトがつくれない」といった後悔をしないよう、建てる家を前提に土地を見極めます。
ハザードマップで気になる点があれば、基礎の高さや設備の配置など、その土地に合った家づくりもあわせて検討できます。
実際に建てたお客様の家や暮らしぶりは、建築事例でご覧いただけます。