日銀がマイナス金利政策を解除し、2025年1月24日には政策金利の追加利上げによって0.25%上昇しました。
野菜・コメにガスやガソリン・電気代が値上げされたことで国民の不安は一気に高まっています。
家計の負担だけでも不安が高まっているところに、金利が上がったことでマイホーム購入を検討している方々は頭を悩ませているに違いありません。
現在返済している住宅ローンの金利はどうなるのか、マイホームは何時購入すれば金利の影響を受けないのでしょうか。
本記事では、住宅ローン金利の基本から2025年以降の住宅ローン金利の動向などを解説します。
Contents
住宅ローン金利の決め方
住宅ローンの金利はどのように決まっているか知っている方はいらっしゃいますでしょうか。
金融政策が変更になっても、自分のローンにどのような影響がわからないまま「毎月の支払い」を計算しても不安は消えません。
金利には変動金利と固定金利があり、それぞれに影響を受ける金利が異なります。
この仕組みを理解すれば、自分が組んだローンがどのように変化するかを理解できるでしょう。
金融機関は短期金利か長期金利をベースに商品ごとの基準金利を決定します。
基準金利から優遇金利(引き下げ幅)を差し引いたものが、住宅ローンの借入金利です。
優遇金利は審査によって個人差があるため、低くしたいのであれば特定の条件を満たすことで引き下げ幅が大きくなる金融機関を選びましょう。
給与振り込み口座がある・金融機関と紐ついたクレジットカードと契約など、金利引き下げ条件もあります。
住宅ローンにおける3つの金利タイプ
住宅ローンの金利は変動金利と固定金利があると解説しました。
固定金利はさらに2つに分かれており、住宅ローンの金利は以下の3つのタイプに分かれます。
- 変動金利
- 全期間固定金利
- 固定金利期間選択
それぞれの金利タイプにはどのような特徴があるのか、解説します。
変動金利
変動金利は定期的に金利が見直され変更されるため、通常の固定金利よりも金利は低く設定されています。
景気の動向に合わせて見直されていくため、景気が良くなると金利があがる傾向にあるのがデメリットです。
変動金利の返済額が見直されるのは5年ごと・金利上昇後の返済額は前回の125%が上限としている銀行が多いです。
このルールは元利均等返済のみに適用となり、毎月の返済額が急に多くはなりませんが未払い利息が発生します。
変動金利で元金均等返済されている場合、未払い利息が発生しない代わりに金利上昇のたびに返済額も増加するため注意が必要です。
住宅ローンを利用し、自己資金を使って短期間での返済ができる方や、金利変動リスクに対応できる方向けの金利と言えます。
全期間固定金利
住宅ローン契約期間中は、最初に決められた金利が返済まで適用される仕組みのため、毎月の返済額は変わりません。
変動金利と比較すると安定感があり、教育ローンや車のローンを掛け持ちしている方には
安心できる選択です。
一般的に変動金利タイプよりも金利が高いことから、デメリットに感じるかとは思いますが、住宅ローンは長期的に返済が続きます。
「金利が高いから」という理由だけで、全期間固定金利を選択しないのは早急です。
「フラット35」は住宅金融支援機構による全期間固定型住宅ローンの一つで、審査内容が異なります。
物件性能が重視されるため、国や自治体の補助金や助成金対象となる、エコ住宅や高機能住宅を検討している方におすすめです。
固定金利期間選択
契約の際に5年や10年など固定金利の期間を選択し、決めて返済する住宅ローンです。
固定期間終了後は、金利を確認し再度申し込むか変動金利に切り替えもできます。
全期間固定金利タイプよりも金利が低い傾向にあるため、期間中の返済は金利を押さえられるのがメリットです。
金利が高い住宅ローンから低い金利の固定金利選択に借り換えれば、一定期間は金利上昇リスクなしで返済ができます。
ただし、期間終了した際に金利が上昇していると残りの返済額が多くなり、総額が増える可能性があります。
メリットだけを見て決めてしまうと、期間終了後に金利が高くなり返済が厳しくなるため、
適用金利だけでなく、優遇金利及び基準金利を確認しましょう。
住宅ローンにおける3つの金利タイプの選び方
住宅ローンの金利は長期的な返済に関わるため、慎重に検討する必要があります。
金利の特徴をつかみ、ライフプランに合わせたタイプを選んでください。
ここでは、3つの金利の特徴や選び方を解説いたします。
金利タイプにおける特徴を理解して選ぶ
変動金利 | 全期間固定金利 | 固定金利選択 | |
特徴 | 定期的な見直しと金利の変更がある | 返済までの期間、金利が固定される | 契約時に、借入者が固定金利期間を選択できる |
メリット | ・金利は低めに設定される ・元利均等返済は5年サイクルで見直しされる | ・返済計画が立てやすい ・金利上昇リスクがない | ・全期間固定金利より金利が安い ・他のローンを組んでいる場合、期間を決めて負担を減らせる |
デメリット | 景気に金利が影響されやすい | 金利がやや高く設定される | 固定金利期間終了後の金利が上がる可能性もある |
ライフプランに合わせて選ぶ
金利だけで比較をするのではなく、住宅ローンの返済をするうえで自分が重視するポイントの優先順位をつけたうえで商品を比較すると選びやすいでしょう。
夫婦だけの家庭とお子さんがいる家庭では収入や支出にも差があります。
将来的には子どもを希望する場合も、住宅ローンの他に貯蓄に回したいお金も必要です。
子供が大きくなれば、住宅ローンだけでなく教育ローンも検討することになるなど、ライフイベントが増えれば支出も多くなります。
将来的なリスクを回避しつつ、安定した返済計画を立てるためのプランがおすすめです。
共働きは収入も支出も多くなるため、金利が低い変動金利や固定金利期間選択型、ライフプランに合わせて金利タイプを選べる金利選択型を選択するのもいいでしょう。
夫婦どちらかが転職や子育てで仕事を辞め収入が減る場合には、利息が低く返済しやすい固定金利型と状況に合わせた金利プランを選んでください。
2025年以降の金利動向について
2025年2月時点 | |
米国 | 4.50(2025年1月) |
欧州(ユーロ圏) | 2.90(2025年1月) |
イギリス | 4.50 |
カナダ | 3.0(2025年1月) |
日本 | 0.5(2025年1月) |
スイス | 0.5(2025年1月) |
豪州 | 4.10 |
NZ | 3.75 |
南ア | 7.50(2025年1月) |
2024年には日銀は短期金利の政策金利を0〜0.1%から、0.25%に引き上げました。
これを受けいくつかの金融機関では、変動金利の基準金利を上げています。
2025年2月現在、スイスと日本の政策金利は先進国と比較すると低水準です。
米国中央銀行(FRB)およびイギリスの中央銀行(BOE)は共に0.5%〜0.25%の利下げを行なっています。
先進国が次々と大きな利下げをしている中、日本が足踏み状態であるのは米大統領にトランプ氏が再選したことにあると考えられています。
公約として関税の引き上げを強くアピールしていたことで、今後の物価上昇を抑えるための策ではないかとも考えられるでしょう。
日銀の金融政策
日銀が行う重要な仕事である金融政策は、経済と景気を安定させるために金利の調整が行われ経済全体をコントロールします。
金利は景気や物価の変動に為替レート、そして海外の金利に影響されており、現在ではマイナス金利が解除され利上げしています。
これは、2025年の春闘で大手から中小企業までの賃上げを見込んだ動きで、今後も物価上昇率が今後も続く可能性を視野に入れた動きと言えるでしょう。
金利が上がるとお金を借りにくくなり、お金を使いにくくはなりますが、企業の利益が増えることで、給料も上がりやすくなります。
賃上げの実施によって消費や投資をする方も増えれば、経済が回りやすく景気は徐々に回復の兆しに向かい、家計にはプラスになるはずです。
短期金利の政策
2024年の金融政策から2025年1月までの短期金利の推移を見ていきましょう。
日銀金融政策決定会合の時期 | 短期金利の政策内容 |
2024年1月23日 | マイナス金利を適用する |
2024年3月 | マイナス金利解除(政策金利0~0.1%程度) |
2024年7月 | 政策金利を0.25%程度に利上げ |
2025年1月 | 追加利上げにて0.50%程度 |
マイナス金利政策によって、金融機関のローン金利が低くなり住宅・自動車などの消費が活発になりました。
円安によるインバウンド効果で海外からの観光客が増え、コロナ渦以降大変だった観光・旅行業界の景気も上向きになっています。
マイナス金利政策は好景気を持続させるために日銀が切った最後のカードだったのです。
住宅ローンやマイカーローンなどが組みやすくなったことで、マイホームを購入する人が増えました。
短期金利・長期金利どちらも低水準に抑えられてきましたが、預金の利息が低くなったことで、預入する人が減少し国債の大量発行が必要となりました。
マイナス金利政策を長期間続けたことでインフレ率のコントロールが難しくなり、2024年には解除しています。
その後は徐々に利上げに動いており、日銀が打ち出した「2%の物価安定の目標」のためには、さらなる利上げの可能性も考えられるでしょう。
基準金利が上がれば適用金利も上昇するため、変動金利で住宅ローンを組んだ場合、2025年7月返済分から金利が上がります。
変動金利は半年に1回見直されることや、毎年4月1日と10月1日に金融機関の適用金利が見直されているからです。
見直されてから約2〜3ヶ月後に適用金利に反映されることを考えれば、1月に追加利上げが後は半年先と考えられます。
2024年9月会合で「2025年度後半の1.0%という水準に向けて、段階的に利上げしていく」という意見がありました。
2025年末にはさらなる金利上昇も考え、現在の住宅ローンの適用金利が想像以上に高いと思うのであれば、借り換えも検討すべきです。
長期金利の政策
2024年の金融政策から2025年2月までの長期金利の推移はどのように変化しているのでしょうか。
日銀金融政策決定会合の時期 | 長期金利の政策内容 |
2024年1月23日 | イールドカーブ・コントロールの実施 |
2024年3月 | イールドカーブ・コントロールは終了 |
2024年7 月 | 長期国債の買い入れ額の減額計画を決定 |
2024年10月 | 変化なし |
2025年1月 | 1.1%程度 |
2025年2月18日 | 債利回り1.4% |
長期・短期金利操作による金融緩和がイールドカーブ・コントロールです。
一般的に中央銀行は短期金利を操作しますが、日銀は2024年3月まで金利政策のために行っていました。
2024年7月の金融政策決定会合までは、同規模の長期国債買い入れ策を継続していましたが
その後は規模を縮小することが決まっています。
国債の価格は低くなりますから、将来的に金利上昇の可能性も考えられるでしょう。
長期金利の代表的な指標となっている国債の利回りは、2025年初めは1.1%台でしたが、2025年2月18日には1.4%台に上昇しています。
長期金利は国債市場の需要と供給によって決まるため、経済が今後どうなっていくかを見極める指針となります。
国債を売る動きが強くなっていることからも、国債価格は下落し、金利は上昇することになると考えられるでしょう。
マイナス金利解除後の変動金利
2025年1月の金融政策決定会合で追加利上げの実施が決まり、短期金利の誘導目標は0.50%にまで上がっています。
このことによって、住宅ローンの変動金利の引き上げが濃厚になってきました。
金利が上がると、住宅ローンの返済金額にも変化がみられるようになります。
マイナス金利・低金利政策が続いたこともあり、多くの方は変動金利の住宅ローンを利用されています。
金利が0.5%あがるごとに月々の返済額は約1万円プラスになり、半年ごとに金利が見直しされると継続的に金利が上がることも考えられるため注意が必要です。
住宅ローンの変動金利には5年ルールがあり、毎月の返済額は変わりませんが元本返済が減ります。
住宅ローンは返済期間中に完済する義務があるため、上昇金利によって増えた未返済分の請求が契約の終盤にまとまってくる恐れもあります。
毎月の返済額の見直しや借り換えなども、この期間に考える必要がでてきますので、住宅ローン金利の動向は注視しておくべきです。
物価見直し
日銀では「経済・物価情勢の展望」というレポートを年に4回発行しています。
2024年12月、2025年1月の消費者物価指数は、前年度よりも3.0%近く上昇しました。
高騰が続く生鮮食品を除いた指数であり、電気・ガス料金や米の上昇率が拡大しています。
米不足によって価格上昇していることや、原油価格の上昇・円安によって輸入物価が高くなったことが原因と考えられるでしょう。
国内外の物価上昇の原因
原油価格高騰や輸入物価の上昇だけでなく、需要の不安視や賃金上昇によって消費が大きくなったことが原因であると考えています。
ここからは、各要因について理解を深めていきましょう。
輸入原価が原油の影響を受ける
原油や天然ガス価格の上昇は、物流や製造コストを押し上げ日常生活にも大きな影響が与えられます。
私たちの生活だけでなく、経済や環境にもさまざまな影響を与えるのが原油です。
原油は日本では発掘できないエネルギーのため輸入に頼っており、輸入量が増えれば国内のエネルギー需要が安定し、ガソリンや電気代の価格が抑えられます。
輸入国は原油価格が上昇した分だけ負担が大きくなるため、物価が上昇し貿易収支のリスクを負うことになるでしょう。
消費者への負担が大きくなると、特に低所得層に影響を与えてしまい生活が苦しくなります。
賃上げの状況
2025年春闘交渉が始まり、大手・中小企業の多くが賃上げ実施を前向きに検討しています。
賃上げの理由としては、物価高への対応だけでなく従業員の離職防止への影響もありそうです。
中には、原油価格の高騰によって原材料価格や電気代の値上がりし、価格転嫁できず見送る企業もあります。
賃金が上昇すれば生活に余裕が生まれ、需要が増加します。
日本の企業は約9割が中小企業であり、賃上げと価格転嫁ができれば物価にもたらす影響は大きいでしょう。
固定金利の状況
固定金利は、長期金利の影響を強く受けることから、今後は上昇していくと考えられます。
市場の動向による影響が大きいため、日銀の利上げ状況や米国・欧州主要国の景気によって変動していくでしょう。
特に住宅ローンを利用する場合、物件契約から融資実行までの期間に金利が大きく変動することも考えられます。
金利が上がることで審査が厳しくなるか借り入れ金額が少なくなる可能性も考えると、マンションや注文住宅の購入は早めがおすすめです。
賃貸の家賃も今後は値上がりすることも考え、ライフプランにマッチした住宅購入の検討が必要になるでしょう。
金利が上がった場合に視野に入れたい対策方法
日銀は2025年には政策金利0.75%を視野に入れると発表しました。
金利の上昇は緩やかなため急激なダメージはないものの、将来的なことを考え生活にどう影響が出るかを考えてみましょう。
繰越返済の資金を用意しておく
住宅ローンの繰り上げ返済には期間短縮型と返済額軽減型があり、月々の返済に負担をかけずに繰り上げ返済できるのが期間短縮型です。
返済期間を短くすることで、教育資金や老後の生活資金へシフトできます。
住宅ローンの返済額を低めに設定した場合などは、預貯金にも余裕をもたせながら繰り上げ返済するのもおすすめです。
住宅購入時の頭金として用意した資金を残すことで返済計画に余裕ができますし、繰り上げできるタイミングで返済すれば金利の金額を減らせます。
借り換えを検討
金利が上がれば住宅ローンの月々の返済額だけでなく、総額が増えてしまうため、繰り上げ返済や借り換えがおすすめです。
借り換え用の住宅ローンは低金利に設定されているため、金利が上がってしまった現状の住宅ローンよりも条件が良くなります。
金利の上昇によって利息が増えても、返済年数が伸びるわけではなく、増えた利息分を多く支払う必要があります。
金利が低い銀行で借り換えすれば、同じ返済金額を低い金利で返済できます。
ネット銀行の住宅ローンであれば、0.3%台の低金利で借り換えも可能ですし、団信の保障内容も手厚くなるなど条件も有利です。
借り換えれば固定金利から低金利の変動金利へ変更し、毎月の返済金額を減らせます。
変動金利は今後も上昇する可能性があるため、返済条件が不利になる住宅ローンを借りた人は、借り換えを視野に入れてください。
完済までの期間が短い方も、借り換えることで余裕が生まれることを考えると、借り換えも1つの手段として検討すべきでしょう。
まとめ
マイナス金利解除後は金利の上昇が予想されますが、どこまで上昇するかは予測できません。
金利が低いと選んだ変動金利が上昇するならば、固定金利選んだ方が返済計画を立てやすいと思う方もいらっしゃるでしょう。
経済動向によってはさらなる金利上昇の可能性も考えられるため、変動金利の方は無理のない範囲での貯蓄がおすすめです。
マイホーム購入には住宅ローンの金利も気になりますが、建築費の高騰も頭にいれるなど、経済動向にも注意を払ってください。
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