子育て世帯が求めるのは、十分な広さがあり、子育てしながら家事がスムーズになる理想的な間取りです。
家族が笑顔でいるためには、子育ての負担が軽くなるような生活動線やバリアフリー機能、収納スペースへの配慮が求められます。
ライフスタイルによって生活しやすい間取りは異なりますし、子どもの成長に合わせて変更が必要にもなります。
快適な空間を作るためには何が必要なのかを考え、優先順位をつけたうえで間取りを考えてみましょう。
本記事では、注文住宅購入を検討している子育て世帯に向けた間取りをご紹介します。
どのような間取りが選ばれているのか、ぜひ参考にしてみてください。
子育てしやすい家の特徴子育ては子どもが成人するまで続く長い道のりです。
年齢や人数によっても生活しやすい間取りは異なりますし、成長に合わせて変化していきます。
月齢が低い赤ちゃんがいる家庭であれば、家族で共有できるスペースが広く、家族全員の目が届く間取りが理想的です。
思春期のお子さんや受験生・性別の違うお子さんがいる場合には、個人の部屋を確保しながら家族とのコミュニケーションが取れる場所は必要
になります。
育児・家事・仕事を楽しめる、そんな住宅の間取りが理想的です。
子育てしやすい間取りを考える際の10個のポイント
お互いが使いやすく動きやすい間取りにするのがポイントになるため、長期的な視点で考え、優先順位を決めて考えましょう。
ここでは子育てしやすい間取りを考える際に、押さえておきたいポイントをご紹介いたします。
育児や介護の両立がしやすい
赤ちゃんはハイハイができるようになると、小さな段差も簡単に乗り越えてしまいます。
パパママがよく手にしたり使ったりするものに関して、強く興味を示すため目が離せません。
移動が早い・なんでも口に入れる・触りますから、目の届く範囲で遊ばせる必要があります。
広いリビングにキッズスペースを作り、おむつ替えや授乳がスムーズにできるようにするのもいいでしょう。
パーティションで区切れば、来客が来た時も安心して過ごせます。
リビングとキッチンを隣接させる、ダイニングキッチンにすれば、食事の配膳も楽になります。
バリアフリーで段差を無くす、扉を少なくし開放感のある間取りにすれば、高齢者が車いすや杖を使って歩き回れるなど、生活しやすく無駄のない間取りがおすすめです。
収納が豊富
子どもが小さいうちは、玄関にはベビーカーや自転車・外遊びのための道具が並びます。
成長と共にスポーツ用品や自転車など物が増えていくと、玄関は靴や道具で溢れてしまい、足の踏み場がありません。
冬は長靴やブーツなどは雨や雪に濡れてドロドロになるため掃除も大変ですし、コートなどのアウターを片付けるスペースも必要です。
玄関の収納スペースが充実していれば、リビングなどに持ち込んで部屋を汚さずにすみます。
靴や子どもの遊び道具などは壁面を利用した収納に、シューズクロークを設置すれば、汚れる物を部屋に持ち込まずにスッキリ片付けられます。
広いリビングには子どもが片付けやすい収納ボックスを配置し、家の中をすっきり保ちましょう。
片付けでイライラしないためにも、大きく収納する・細かく収納できると区分けしておくと便利です。
効率さを重視した家事動線
移動に無駄のない家事動線であれば、子どもから目を離す時間も短くなりますし、効率的に家事をこなせるため、毎日の負担が少なくなります。
収納スペースはリビング内でまとめたり、近くにしたりすれば移動距離も短く、片付けがラクになります。
子どもと楽しみながら片付けをする習慣をつけられますし、遊びの延長で絵本やおもちゃを元に戻す癖もつけられるでしょう。
効率的な家事動線にすれば、子どもと遊ぶ時間もできますから、仕事との両立もスムーズにいきます。
ダイニングキッチンにすれば、遊んだり勉強したりする姿を見守りながら家事を進められます。
キッチンやランドリールーム・バスルームをつなげれば家事効率が良くなり、ストレスを減らせるでしょう。
ゆっくりできる場所がある
和室や畳の部屋は必要がないと考える人もいますが、子どもとのお昼寝スペースや遊び場としても利用できます。
足元に収納スペースを作ればおもちゃの取り出しも簡単ですし、お友だちとの遊び場としてや、読書スペースとしても使えるでしょう。
リビングに3〜4畳程度のスペースがあれば義両親が来た時には足を延ばしてリラックスしてもらえます。
疲れた時には、子どもと一緒にお昼寝するスペースにしてもいいでしょう。
来客用の荷物置き場として利用できますし、片付けをするときに散らかったものを一時的に押し込めるなど、使い方も自由です。
利便性を重視した回遊動線
子育て世帯におすすめしたいのは、バスルームまで直行できる回遊動線です。
外遊びが大好きな子どもは、晴れも雨も関係なく泥だらけで遊びます。
玄関は泥で汚れても気にならないフラットな床にすると、服についた泥を持ちこまないため掃除が楽になります。
服に付いた細かい砂や泥汚れは、早く落としてリビングでゆっくりとさせたいなら、玄関からお風呂に行ける動線を作りましょう。
玄関からに沿面台を設置し、手洗いうがいをしてからバスルームに直行できる動線もおすすめです。
ランドリールームを挟めば、汚れた服は脱いでお風呂に入れますし、着替えてリビングに回遊する動線なら無駄がありません。
子供の見守りができる
赤ちゃんから幼児、小学生、中学・高校と、子どもの成長に合わせて動線にも変化が訪れます。
小学生くらいまでは、リビングで遊んだり勉強したりを考え、子どもの様子が見渡せるオープンキッチンや対面キッチンがおすすめです。
子どもと会話しながら食事の用意ができますし、家族がどこに移動したかもわかりやすいため不安や心配がありません。
リビングの一角に。テーブルを配置すれば大人が仕事をしながら、子どもの見守りができます。
ワークスペースを設ければ、ダイニングテーブルで宿題をしている子どもの様子もわかりやすいでしょう。
会話を楽しみながら子どもの様子もしっかり見守れるため、安心して家事や仕事に
集中できますし、コミュニケーションも取れるため安心です。
子供とのコミュニケーションを取りやすい
子育ては大変ですが、いつか親から距離を取るようになり、友達との時間を大切にするようになっていきます。
思春期に入ると親に秘密を持つようになり、会話が減ってしまい、コミュニケーションが希薄になりがちです。
家庭内でのコミュニケーションを活発にするためにも、子供部屋に行くにはリビングを通過する帰宅動線を意識しておきましょう。
「ただいま」「おかえり」の挨拶をすることで、家族の絆を確認できますし、部活や趣味の話などから会話のきっかけがつみやすくなります。
子ども部屋はあっても、家族と一緒に過ごせるリビングでの時間を大切にできるような動線は重要です。
内装材はメンテナンスのしやすさを重視
壁や床へのお絵描きはもちろん、汚れた手であちらこちらを触るため、油汚れで家じゅうがベタベタ汚れます。
汚れにくく拭き取りやすい、掃除に時間がかからないなど、メンテナンスが楽なものを選びましょう。
子どもが小さい間は、汚れと傷はつくものだと諦めるのが一番です。
汚れては張り替えるよりも成長するまでは「メンテナンス重視」な内装材で、掃除ストレスを溜めないようにします。
テーブルクロスは拭き取りやすいビニールクロス、壁紙もビニール系ならジュースが飛び散っても拭くだけで簡単です。
床材は転んで怪我することを踏まえて、安全性を考慮したクッションフロアがいいでしょう。
子供部屋は子供の成長に合わせて変更可能にする
実際に子ども部屋を利用するのは、小学生高学年から中学入学後あたりからです。
子どもの学習塾は教室と同じように大人数の中で勉強をするため、部屋に閉じこもるよりも、リビングテーブルを利用する傾向にあります。
子ども部屋はパーティションで区切りをつけるなど、成長や人数に合わせて変更できるようにします。
それまではテレワーク用の部屋として使ったり、収納スペースを広めに取り、使わなくなった学用品やおもちゃを片付けておけば部屋を無駄にしません。
可動式の間仕切りを設置しておけば、子どものプライベートを確保し、兄弟姉妹で部屋が使えます。
性別が異なる場合には各自個室が必要になるため、リフォームしやすい間取りを考えておくのも方法です。
壁面本棚で知育
好奇心を満たす本棚をリビングに設置すれば、本が身近に感じられるようになります。
子どもが小さな頃は絵本の読み聞かせがメインですが、成長と共にタブレットやパソコンなどがメインになり、本と触れ合う機会が減っていくものです。
本を利用して調べる・活字に触れる行為は、知的好奇心や集中力を高めて、学習意欲を刺激します。
壁面本棚は探しやすく見やすいメリットがあるだけでなく、片付けやすく取り出しやすいなどもメリットがあります。
狭い部屋でも壁面を使えば、収納スペースを設けなくてもスッキリします。
子育てを重視した間取りの事例
イメージはできても、実際にどのような間取りが便利なのかはわかりませんし、家族全員が利便性を感じなければ意味がありません。
ここでは、子育て世帯の注文住宅の間取りから事例を参考に紹介します。
回遊性を重視
玄関からパントリーまでの距離が短ければ、食材をスムーズに運べるため無駄がありません。
家事動線をまとめた配置
キッチンを中心にランドリールームや洗面台・トイレを配置すれば、生ものや野菜類などを収納してから食事の用意、洗濯とスムーズに家事を行います。
帰宅後は洗面台で手を洗いバスルームへ直行すれば、回遊性もよく無駄がありません。
シンク側とリビングを向かい合わせにすれば、お子さんの様子もわかりやすく、家事をしながら家族とのコミュニケーションが取れます。
収納性を重視
子育て世帯は荷物が多くなるため、注文住宅では十分な収納スペースを設置する必要があります。
玄関は広すぎでも狭すぎても使い勝手が悪くなるため、クロークを使った収納が人気です。
ウォークインタイプであれば、狭いスペースに三輪車やベビーカーなどを収納し玄関周りをスッキリ見せられます。
引き戸をつければ、来客時にも目隠しになりますから安心です。
土間収納
玄関に入って部屋に入るまでの空間で、三輪車や自転車、スポーツ用品や遊具などを収納できるスペースです。
靴が玄関先に散らばり来客時に困ることもありませんし、大きな荷物に占領されなくても出入りしやすくなります。
小上がりの活用
玄関・土間・小上がりからリビングを一体にすれば開放感のある空間になるだけでなく、下にちょっとしたものが収納できて便利です。
また、土間と畳を近くすれば高齢者が部屋に上がりやすくなるメリットも生まれます。
ファミリークローゼット
各自の部屋にクローゼットを用意するよりも、玄関すぐに洗面台を設ければ玄関で上着を脱いでフックにかけリビングへ移動もできます。
洗面台からバスルームに直行できる動線にすれば、小さなお子さんは部屋を汚さずにきれいにしてリビングに戻れる動線です。
小屋裏収納
大きなものや、使わなくなったものを片付けするには小屋根裏収納は非常に便利な収納スペースです。
注文住宅の場合、天井は狭くなりますが収納スペースは十分にありますから、家族人数が多い子育て世帯におすすめします。
ベビーカーや三輪車、お子さんの教科書や卒業アルバムなどを整理して収納できます。
玄関を広くする
来客の印象が良くなる、圧迫感がなくなることで帰宅した時にリラックスできるなどのメリットが生まれます。
高齢者や小さな子どもは、靴の脱ぎ履きが楽になりますし、片付けもスムーズです。
目隠し効果ありのL字型玄関
玄関ホールをL字型にすると、靴を脱ぎ履きできるスペースが広くなります。
奥まった場所にはシューズボックスを設置し、棚や壁面を利用すれば、野球のグローブやバット、ボールや砂遊び用のおもちゃなども収納がスムーズです。
三輪車やベビーカー・ゴルフバッグなども、目隠しされてみえません。
玄関前をホールにすれば家の中が丸見えにならず、来客に不快感を与えることもなくなります。
料理時の子守りを重視
調理中は火加減などから目を離せないため、子どもの様子にまで気を配れません。
子どもを危険から守るためにも、広い視野で部屋を見渡しながら家事ができる間取りを考えましょう。
キッチンデザインを考える
リビング全体を見渡せる対面式キッチンは、子どもの様子を見ながら料理を作れます。
料理に興味がある子どもには特別感を感じられますし、家事をする親の姿を近くで目にすることで感謝の気持ちも芽生えるでしょう。
お子さんとのコミュニケーションを取りながら料理をするのであれば、アイランド式の対面キッチンがおすすめです。
広範囲を見渡せるため、小さなお子さんの見守りだけでなく、家族の様子も見やすくなります。
自室以外に学習スペースを用意
注文住宅では夫婦の寝室は1階にお子さんの部屋を2階に設計するケースが多いようです。
リビングに自習スペース
自主的に勉強するようになるまでは、自分の部屋よりも家族の近くで見守られながら学習する方が落ち着きます。
自分の頑張りを認めて欲しい気持ちがあるため、親の目線がある場所で学習できるようなスペースを作りましょう。
2階に自習スペース
1から階段を上がった2階にホールを設置し、そこに机と椅子を置いた学習スペースを作ります。
換気と空調が効いていれば、狭い部屋に閉じこもらなくても開放感のあるスペースで勉強がはかどります。
誰でも使えるようにしておけば、家族同士のコミュニケーションも増えるでしょう。
ランドリースペースを独立させる
注文住宅で人気のランドリールームですが、近年は「独立型」が人気です。
「洗う・干す・収納する」の流れをスムーズにすると、家事効率がアップし時間が短縮できます。
時間の余裕は心の余裕にもつながり、笑顔が増えれば家の中が明るくなります。
子どもとの時間も取れますし、自分自身がリラックスできれば家事がどんどんはかどるようになるでしょう。
クローゼットを近くに
洗濯・乾燥・アイロンがけ・収納をまとめて行えるため、クローゼットを近くに設置すれば移動時間が少なくなり家事の負担も軽減されます。
洗濯物があちらこちらに散らからないため、美観が保たれるだけでなく片付けの手間もありません。
リビング横に和室を用意
リビング横に和室を設置すると、少しの家事スペースとして利用できます。
洗濯物を畳んだりアイロンをかけるスペースにしたり、疲れた時に横になってリラックスできたりするのは和室のメリットです。
フローリングでは味わうことができない畳の香りは、疲れた体と心をじっくりと癒してくれます。
間仕切りは用途に合わせる
広さは3〜4畳で、椅子代わりや足元収納スペースが欲しい場合には、使いやすさを重視した小上がりがおすすめです。
開放感のある雰囲気にしたいのであれば、フラットな間取りがいいでしょう。
子どもの遊び場としても利用するのであれば、壁を使った収納で全体を広く使えるようにするのがおすすめです
家族の存在を感じたい
家が広くなると、家族がバラバラに過ごすようになりがちです。
動線をコンパクトにする・1階で生活が完成する間取りにすると家族の存在が近くなります。
吹き抜け
開放感とダイナミックな空間、注文住宅ではリビング階段との組み合わせが人気です。
インテリアにこだわりたい人にもおすすめですが、1階と2階をつなげて一体感が出るため
家族の存在を感じやすくなります。
子供が成長しても、家族のつながりを感じられる家にしたい方におすすめです。
リビング階段
リビングを通って2階に上がる間取りにするため、家族の帰宅や居場所がわかりやすくなります。
広いリビングのアクセントにもなり、家族とのコミュニケーションが簡単に取れるなどのメリットがあります。
拭きぬけとの相性も良いので、空間を使いながら家族との距離を縮める間取りとして人気です。
ライフスタイルによる可変性重視
注文住宅を建てる際には、子どもが成長した先の未来を見据えた間取りを考えましょう。
仕切りで間取りを変える
小学生までは同じ部屋で過ごせますが、性別が違う場合には小学校中学年くらいで部屋を分けた方がいいでしょう。
中学年くらいになれば、それぞれの部屋が必要になりますが、成長して独り立ちすると使わなくなります。
子ども部屋は2階に作り、将来的には仕切りを使って部屋を分けられるように、広い部屋を用意しドアや照明を複数設置しましょう。
ライフスタイルの変化に対して、柔軟に対応できるように考えておきます。
勝手口を用意してゴミ捨てを楽にする
勝手口は配置によっては非常に便利で、なくてはならない設備です。
キッチンの近くに設置すれば、ゴミ捨てが楽になるだけでなく、買い物を玄関から運ぶ手間が省けます。
駐車場の近くに配置する
できるだけ早く冷蔵庫に収納したい野菜類などは、車から降りて玄関まで運ぶよりも勝手口を使えばスムーズです。
車とドアがぶつからない様な配置は、注文住宅で人気のビルトインガレージで解決します。
ゴミ捨てを楽にする
勝手口の近くに屋外用ゴミ箱を設置すれば、おむつや生ごみは勝手口からすぐに捨てられます。
勝手口を中心にゴミ捨て動線がスムーズにすれば、ゴミ袋をもって玄関に回らなくても済みますし、ゴミステーションまでの移動もスムーズです。
まとめ
子育て世帯が理想とする注文住宅は、育児がスムーズになる家事動線と間取り、収納スペースの確保です。
子どもの様子を見守りながら家事ができる、リビングやキッチンの配置だけでなく、成長に
合わせて変更できる柔軟性も考えましょう。
予算内で自分たちの理想を注文住宅で叶えるためには、優先順位を決め「今必要なもの」「将来的に必要になるもの」を考えておきます。
メンテナンスのタイミングでリフォームするなど、10数年を見据えた注文住宅を完成させてください。