都心部や人気のエリアでは、土地の価格が高いことから狭い面積の土地でなければ購入できないことも多いです。そのため、その土地に建てられる家は狭小住宅になってしまいます。
狭小住宅と聞くと、狭くて使い勝手が悪く、日当たりもあまり良くないのでは?と思う方もいるかもしれません。
しかし、間取りを工夫することで、狭小住宅でも快適な家づくりをすることが可能です。
ここでは、狭小住宅でも住みやすい間取りにするためのポイントとアイデアをご紹介します。
狭小住宅を建てるかどうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
狭小住宅のメリットは何?
まずは狭小住宅のメリットについて見ていきましょう。
考えられるメリットは以下の3つがあります。
- 家づくりにかかる費用を抑えられる
- 利便性の高い場所に住める
- 移動距離の短い家事動線を作れる
4つのメリットについて解説していきます。
家づくりにかかる費用を抑えられる
狭小住宅は、延床面積の小さい建物なので、建築にかかる費用を安く抑えることができます。敷地面積も小さいため、土地の購入価格や住み始めてから支払いが必要な固定資産税などの税金も安く済みます。
また、建物が小さいため、冷暖房効率を高めやすく日々の光熱費を安くおさせることも可能です。外壁や屋根などの面積も小さくて済むため、住み始めてから必要な外壁や屋根などのメンテナンスにかかる費用も抑えられます。
利便性の高い場所に住める
狭小住宅は都市部に建てられることが多いです。そのため、交通機関やコンビニ・スーパーなどが近くにあり、利便性の高い場所に住むことができます。
通勤や日常の買い物での移動も少なく、時間の節約ができるだけでなく、交通機関が近くにあれば車を所有する必要もありません。
車を所有しないなら、家づくりの際に駐車スペースを確保する必要もないため、そのスペースを居住空間に充てることもできます。
移動距離の短い家事動線を作れる
延床面積の小さい狭小住宅なら、部屋同士の距離も近いため、移動距離の短い家事動線を作ることができます。キッチンや洗面所などの水回りを集約させればキッチンでの作業の合間に、洗濯物を干すなど家事の効率を高めることもできます。
掃除をするスペースも少ないため、日々の家事を楽にこなせるようになるでしょう。
狭小住宅で気をつけるべきデメリットは何?
[2] 続いて狭小住宅で気をつけるべきデメリットを3つご紹介します。
- 建築費用が高くなる可能性もある
- 法規制にかからないか注意が必要
- 収納スペースが足りなくなる可能性がある
3つのデメリットについて見ていきましょう。
建築費用が高くなる可能性もある
選ぶ土地によっては、建築費用が高くなる可能性もあるため注意しましょう。
たとえば、通路の狭い入り組んだ場所にある狭小地だと、建築工事の際に大型車両が通れない恐れがあります。この場合、機材の運搬を人力で行わなければならず、業者の作業費が高くなって建築費用が高くなるケースもあるようです。
法規制にかからないか注意が必要
建築基準法の規制により、希望の家が建てられない可能性もあるため、注意が必要です。
たとえば、「敷地をいっぱい使って家を建てたい」、「3階建てにしたい」、といった希望があっても、建ぺい率や高さの規制によって制限を受けると、その希望を叶えることはできません。
狭小地を購入する場合は、どのような規制があるのかを確認する必要があります。規制についてよくわからない場合は、ハウスメーカーや工務店にも相談してみるようにしましょう。
収納スペースが足りなくなる可能性がある
面積の小さい狭小住宅だと、収納スペースが足りなくなる可能性があります。
限られたスペースを使って、必要な分の収納スペースは確保するようにしましょう。
狭小住宅でも住みやすい間取りにするためのポイント
狭小住宅でも住みやすい間取りにするためのポイントをご紹介します。
- 限られたスペースを無駄にしない
- 生活動線・家事動線を意識する
- 隣家の窓位置に応じて窓の高さ・大きさを考える
- 後から変更できる間取りにする
- 収納スペースを十分確保する
- 優先順位を考える
- 防犯対策をする
- バリアフリーにする
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
限られたスペースを無駄にしない
狭小住宅はスペースが限られているため、その限られたスペースを無駄なく利用することが重要です。たとえば、3階建てにしたり、屋上を作ったり、スキップフロアや地下室を設けたりして、居住空間を確保する方法もあります。
ただ、先ほども説明したように、土地の法規制によっては3階建てを建てられない場合もあったり、地下室を付けることで建築費用が一気に高くなったりすることもあるため注意しましょう。
生活動線・家事動線を意識する
狭小住宅では、ワンフロアの面積が狭いため、スムーズな生活動線・家事動線を意識することが大切です。
たとえば、水回りはワンフロアにまとめることで、家事での移動が短くなります。ランドリースペース、物干しスペース、ファミリークローゼットを隣接させると洗濯して乾いた衣類を収納するところまでスムーズな移動ができるのでおすすめです。
隣家の窓位置に応じて窓の高さ・大きさを考える
狭小住宅は、隣家との距離が近い場合が多いです。そのため、窓の位置を考える際には隣家との関係性をしっかりと把握しておく必要があります。
隣家がある側にLDKの大きな窓を設置すると、隣家からの視線が気になってカーテンを締め切っている、なんてことにもなりかねません。
隣家側に窓を付けるなら、小さい窓や高窓を取り付けてプライバシーを確保しましょう。
狭小住宅の場合は、玄関とLDKとの間に仕切りのないオープンリビングもおすすめです。
広い空間を確保できるので、明るく開放的な空間を作れます。
後から変更できる間取りにする
後から変更できる間取りにすることで、ライフスタイルの変化があってもフレキシブルに対応できるようになります。
たとえば、大きな1つの部屋に間仕切り壁を設置して、2部屋に分けられるようにすれば子どもの成長に合わせて2つの子ども室を確保できます。子どもが独立したら間仕切りを取っ払って、夫婦の趣味部屋として使うのも良いでしょう。
収納スペースを十分確保する
狭小住宅は面積が狭いですが、その狭いスペースの中でも収納量はしっかりと確保するようにしましょう。
居住空間を広く取って、収納スペースを十分に確保していないと、ものが溢れかえってしまい、散らかった部屋になる可能性があります。
また、収納を確保するために大型家具を配置して、居住空間が狭くなるという事態にもなりえます。住み続けているとどうしても物は増えてしまいます。
居住空間が少し狭くなったとしても、収納スペースは必ず確保しましょう。
ロフトや小屋裏収納を設置して、収納スペースを作るのもおすすめです。
優先順位を考える
家づくりを考える際には、絶対に譲れない場所や妥協しても良いポイントなどを考えておくようにしましょう。
LDKは広くて明るい部屋にしたい、子どもの部屋は最低でも2つ欲しいなど、妥協できない部分を明確にし、優先順位を付けるようにしてください。
優先順位を決める時は、将来のことも考える必要があります。
子育てのしやすい家なのか、高齢になってからも生活しやすいかなどをイメージしながら間取りを検討しましょう。
防犯対策をする
狭小住宅に限りませんが、家づくりでは防犯対策も意識するようにしましょう。特に子どもが独立して高齢になった時に、高齢者しか住んでいない家は犯罪者に狙われやすくなります。
防犯カメラや人感センサーライトを設置したり、玄関も勝手口も開錠が難しいツーロックにしたりなど、家を家族を守る対策を行いましょう。
バリアフリーにする
将来、老後になった時も考えて、家づくりの段階でバリアフリーの間取りを考えるのも良いでしょう。
たとえば、家の扉は全て開けやすい引き戸にしたり、部屋と部屋との段差を無くすだけでもバリアフリーになります。また、将来手すりがつけられるように廊下や階段などに壁の下地補強を入れておくのも良いでしょう。
家は何十年も住み続ける場所です。自分が高齢になった時に住みやすい家にするために家づくりの段階で対策を立てておくのも大切です。
防音対策を行う
狭小住宅は、隣の家との距離が近いため騒音トラブルを予防するためにも、防音対策を行いましょう。
たとえば、防音効果のある厚手のカーテンを採用したり、足音が響きにくいようにコルクマットを敷くなど住み始めてからできる対策もあります。
家づくりの段階で防音対策を考えるのであれば、映画鑑賞・楽器演奏をする部屋には防音材を使うのも良いでしょう。
家全体に防音対策を施したい場合は、高気密・高断熱住宅を建てるのがおすすめです。
高気密・高断熱住宅とは、家の断熱性能が高く隙間の少ない家のことをさします。厚みのある断熱材とたっぷり使用し、気密性の高いサッシを採用することで外からの騒音も気になりにくくなり、外へ音が漏れ出にくくなります。
高気密・高断熱住宅は、外気の熱に影響されにくく、室内の熱が逃げにくくなる構造になっているので「夏は涼しく、冬は暖かい」家も実現できます。
防音対策だけでなく、年中快適に過ごせる家にしたい方は、高気密・高断熱住宅を採用しましょう。
狭小住宅で採用したい間取りのアイデア
最後に狭小住宅で採用したい間取りのアイデアをご紹介します。
- できるだけ壁を無くす
- 小屋裏収納・ロフト・スキップフロアを取り入れる
- 高窓・地窓で日当たり・風通しを確保する
- 造作家具を取り入れる
- デッドスペースを無くす
- リビング中心の間取りにする
それぞれのアイデアを見ていきましょう。
できるだけ壁を無くす
狭小住宅で部屋の仕切りが多いと、より狭さが強調されて圧迫感を感じやすくなります。できるだけ壁を無くして、開放感のある間取りにすると部屋も広く感じられます。
たとえば、キッチンをアイランド型にしてLDKに壁も柱も無い状態にするだけでも広いスペースになります。
小屋裏収納・ロフト・スキップフロアを取り入れる
狭い面積を有効活用するために、小屋裏収納やロフト、スキップフロアを取り入れるのもおすすめです。
スキップフロアは中2階など、階と階の間に作るフロアのことです。壁で区切られない部屋を作ることができるので、家の空間同士を繋げられるだけでなく居住スペースとしても活用できます。スキップフロアを書斎や子どもの勉強スペースとして活用するのも良いでしょう。
小屋裏収納やロフトは、天井近くにスペースを確保し、階段やハシゴで上り下りして利用できます。普段使わないものや季節物を小屋裏やロフトにしまっておけば、LDKや他の部屋も散らかりにくくなります。
高窓・地窓で日当たり・風通しを確保する
狭小住宅は隣家との距離が近いことが多いため、隣家の窓位置によっては大きな窓を確保しにくい場合もあります。
そんな時は、高窓や地窓を取り入れて、日当たりや風通しを確保しましょう。
高い位置に窓を取り付けることで、室内に太陽の光を取り込むだけでなく、夏には排熱窓としての役割も果たしてくれます。
地窓もしっかりと風を取り込んでくれるので、部屋の中に爽やかな風を運んでくれるでしょう。
造作家具を取り入れる
収納をしっかりと確保した家にしたいなら、造作家具を取り入れるのも良いでしょう。
既製品の収納家具だと、収納量が足りなくなる可能性もあるので、生活スタイルに合わせてカスタマイズできる可動式の収納棚がおすすめです。
棚の位置を自由に変えられるので、収納するものに合わせて柔軟に使えます。
デッドスペースを無くす
狭い面積を無駄なく使うために、デッドスペースを極力無くすようにしましょう。
たとえば、階段下はデッドスペースになりやすいですが、そこを階段下収納にしたりデスクコーナーにするなどのアイデアがあります。階段をLDKに設置し、より日当たりをよくしたいなら、階段下に大きな窓を設置するのも良いでしょう。
できるだけ無駄を無くして、限られた面積を最大限活用しましょう。
リビング中心の間取りにする
家族がコミュニケーションをしっかり取れるように、リビング中心の間取りにするのもおすすめです。
たとえば3階建ての狭小住宅なら、2階をリビングにすることで、上下階からのアクセスがしやすくなります。リビングに階段を設置すれば、帰宅した時に必ず家族が顔を合わせることになるため「おかえり」「ただいま」など言葉を交わしてコミュニケーションが取れます。
まとめ
狭小住宅でも間取りのアイデア次第で住みやすい家を作ることは可能です。
狭さを感じさせないためにも、壁を無くしたり、玄関とリビングが繋がったオープンリビングにしたりと様々な工夫やアイデアを取り入れてみることをおすすめします。 これまで解説したことを参考に、自分や家族が住みやすい家づくりをしてみましょう。
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