住宅を購入する際、多くの人は建物以外にも日々の生活を支える住宅設備に注目します。住宅設備には、キッチンや浴室といった水回りや空調・電気設備などがあり、いずれも住宅の快適性に大きな影響を与えます。
今回は、住宅設備の選び方や注意点、設置してよかったと思う住宅設備、設置してよかったとおもう10の設備を紹介します。ぜひ、参考にしてください。
Contents
住宅設備とは
住宅設備とは、住宅内に設置されるさまざまな設備や機器の総称です。キッチンや浴室、洗面所といった水回りの設備や、室内の温度を快適に保つための空調設備、照明器具やコンセントといった電気設備などをまとめて住宅設備と呼んでいます。ここでは、建築基準法上の住宅設備や寿命について解説します。
参考:経済産業省
建築基準法における住宅設備
建築基準法第二条第三項では、建築設備を「建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針」であると定義しています。具体的には、以下の3つに区別できます。
- 給排水の設備
- 空調設備
- 電気設備
給排水設備に含まれるのは、給水管や排水管、受水槽、高置水槽などです。給水管は水道水を運ぶパイプであり、給水ポンプは地上階から上層階に水を汲み上げる装置のことです。汲み上げられた水は高置水槽に蓄えられ、各部屋に給水されます。このほかにも、トイレの水洗設備や雨どい、浄化槽、スプリンクラーなども給排水設備に含まれます。
空調設備は、住宅内の空気の流れをコントロールしたり、空気清浄機能が付いたりした装置のことをさします。換気や温度調整、加湿、除湿などの機能を担っています。そのため、空調設備が故障すると住宅の快適性に悪影響を与えます。
電気設備には、変電所から送電された電気の電圧をコントロールする受変電装置や、分電盤などの設備をさします。
住宅設備の寿命
住宅設備の寿命は、住宅の寿命に比べると短いことに注意が必要です。住宅そのものは、適切にメンテナンスをすることで50年から100年にわたって継続して利用できます。しかし、住宅設備の寿命は10から15年程度と考えなければなりません。
あまり高価な設備を取り付けたとしても、住宅本体よりも早く劣化するため、交換するための予算を確保する必要があるのです。
住宅設備の選び方
住宅は一生に一度の買い物といわれますが、せっかく購入するのであれば、建物だけではなく設備にもこだわりたいと考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、住宅設備を選ぶ際、どのように選べばよいのでしょうか。ポイントとなるのは、ライフスタイル・使用頻度・コストの3つです。それぞれの内容について詳しく見てみましょう。
ライフスタイルで選ぶ
1つ目のポイントは、ライフスタイルにあった住宅設備を選ぶことです。水回りやキッチン、照明など、住まいの設備は毎日使用するものなので、家族構成や生活習慣に合致していることが重要です。
仕事を持つ夫婦の場合、家事負担を軽減できる高機能な家電製品や時短を叶える設備が必要です。一方、高齢者の世帯では、安全性を重視し、快適に過ごせるような設備が求められるでしょう。
このように、住む人の価値観やライフステージによって、必要となる設備は大きく変わってきます。今の生活習慣だけでなく、将来の家族構成の変化を予想しつつ、長期的に見て最適な設備を選択することも大切です。
設備の選択に迷った場合は、日々の暮らしを振り返り、使用する頻度や時間を考慮しながら、必要なものを見極めたほうがよいでしょう。最新の設備にこだわらず、必要な機能だけに絞った製品を選ぶことも賢い選択と言えるでしょう。
使用頻度で選ぶ
2つ目のポイントは、使用頻度が高い場所にこだわって住宅設備を選ぶことです。 日々生活する上で欠かせない水回りの設備は、使用する機会が多いだけでなく、日々の清掃など何かと手がかかる場所でもあります。
そのため、使い勝手や掃除のしやすさ、見た目の美しさなどが、日々の暮らしの満足度に大きく影響します。家族みんなが毎日使うお風呂は、掃除のしやすさやリラックスできるかどうかがポイントになります。
一日の疲れを癒す空間だからこそ、浴槽の素材やシャワーヘッドの種類など、細部にまでこだわって選ぶとよいでしょう。 住宅の中で特によく使う場所、自分が大切にしたいと考える場所に重点を置いて設備を選ぶことは、快適な住まいを実現する上で非常に重要です。
メンテナンスやランニングコストで選ぶ
3つ目のポイントは、メンテナンスやランニングコストを考慮して設備を選ぶことです。住宅設備は、設置すれば終わりではありません。長く快適に使い続けるためには、日々の清掃や定期的なメンテナンスが欠かせません。
キッチンなら換気扇やシンク周り、洗面所なら洗面ボウルや排水口など、汚れやすい箇所はこまめな掃除が必要です。設備を選ぶ際には、お手入れのしやすさも重要なチェックポイントになります。掃除の負担を減らす工夫がされている製品を選べば、日々の暮らしのストレスを軽減できます。
また、設備を使うには、電気代やガス代、水道代などの費用も発生します。このランニングコストは、製品の性能によって大きく変わります。初期費用を抑えられたとしても、ランニングコストが高くなってしまっては意味がありません。
節水機能付きのトイレやシャワーヘッドを選べば、水道料金を節約できます。長期的な視点に立って、ランニングコストを抑えられる省エネ性能の高い設備を選ぶことが、結果的に家計の負担軽減に繋がります。
住宅設備配置の注意点
住宅設備を選ぶ際、気を付けなければならないのは配置です。ここでは、配置のポイントとして目立たないよう配置することやまとめて配置することについて解説します。
目立たないように配置する
住宅において快適な環境を実現するためには、様々な設備が欠かせません。しかし、設備そのものが視界に入ると、せっかくの空間の印象を損ねてしまう可能性があります。目指すのは、あくまでも快適な暮らしであって、機械が目立つ空間ではありません。
エアコンであれば、壁や天井に埋め込んで存在感を消してしまうことで目立たなくすることができます。部屋のコーナーなどもともと目立ちにくい場所に設置することも効果的です。
目立ちにくくなることを重視しすぎて機能が損なわれてしまうのは本末転倒ですが、設備が悪目立ちしないように配置することで、全体の調和を守り、部屋の美観を損なわない空間をつくることができるのです。
配置をまとめる
住宅設備を効果的に配置するには、機器類を集約することが重要です。散在させると雑然とした印象を与えかねません。キッチンでは照明器具やレンジフード、水回りの設備を近接させることで、すっきりとした外観が実現できます。
また、各要素の位置を揃えたり、等間隔に並べたりすることで、美しく見せることができるでしょう。細部へのこだわりにこそ、美しい空間を生み出す秘訣です。
設置してよかった住宅設備10選
ここからは、設置してよかったと思う住宅設備を紹介します。
浴室乾燥暖房機
浴室乾燥暖房機は、暮らしを快適にする人気の設備です。雨の日や夜遅くでも洗濯物を乾かせるので、時間を気にせず洗濯できます。また、湿気を効果的に除去するため、カビの発生を抑え、清潔な浴室を保てます。
冬場は、暖房機能で浴室が暖まるので、急激な温度変化によるヒートショックのリスクを減らし、安心して入浴できます。多少光熱費はかかりますが、快適性や安心感を考えると、導入する価値は十分にあると言えるでしょう。
タッチレス水栓
手を洗う際や調理中に便利なタッチレス水栓は、衛生面でも大活躍します。例えば、生肉を扱った後でも、レバーに触れることなく水を使えるので安心です。小さな子どもでも簡単に水を使えるので、手洗いうがいの習慣づけにも役立っています。必要な分だけ水を出せるので、家計の節約にも貢献してくれるでしょう。
床暖房
床暖房は、部屋全体を温めてくれるため、住宅の快適性を向上させてくれます。リビングで過ごす時間が増える冬場、下半身が温まることで全身が暖かく感じられるという声が見られました。
暖房器具をわざわざ出したり片付けたりする必要がなく、スイッチを押すだけで暖かさが手に入る手軽さも人気の理由です。季節の変わり目に暖房器具を移動する必要がなく、空間を有効活用できるのも魅力です。
食洗器
食洗器も人気のある住宅設備の一つです。共働き世帯や子育て世代はもちろん、一人暮らしの方でも、空いた時間を有効活用できます。また、水仕事による手の乾燥や指先の荒れも防げるため、肌が繊細な方には特に有用です。手間が省けて、家事を大幅に軽減してくれる設備としても人気です。
IHクッキングヒーター
IHクッキングヒーターは、フラットな形状でお手入れが簡単という点も魅力ですが、調理のしやすさでも人気を集めています。例えば、火加減を気にせず煮込み料理を作れたり、タイマーをセットして他の家事を同時進行したりできます。
小さな子どもや高齢者がいる家庭でも、火を使わないため安心して調理ができます。家事の時短になるだけでなく、安全面も考慮されている点が、多くの支持を集めている理由と言えるでしょう。
床下収納
床下収納の魅力は、スペースを効果的に活用できることです。週末にまとめ買いした食品や飲料、普段は使わない調理器具など、様々な物を収納できる点で人気があります。使用頻度が低い調味料や、季節家電の収納場所としても活用できます。
加えて、幼い子供の手が届きにくい場所なので、洗剤などの危険物を安全に保管できるという利点もあります。
二重窓・複層ガラス
二重窓や複層ガラスは、断熱効果に優れているため、冬場の快適性を大きく向上させてくれます。そのため、エネルギー効率が向上し、冷暖房費の削減にもつながります。また、外部からの騒音も軽減されるため、幹線道路沿いのような交通量が多い場所にある住宅でも静かな環境を確保できます。
クローゼット
増えてしまった持ち物を整理するために有効活用できるのが、住宅に備え付けられた収納力の高いクローゼットです。季節外の衣類や使用頻度の低いアイテムを収納しておけば、生活空間をスッキリと保てます。
最近では、家族全員で使うことを想定したファミリークローゼットや、動線を意識したウォークスルークローゼットなど、様々なニーズに対応できるクローゼットが登場しています。
宅配ボックス
宅配ボックスは、留守中でも荷物を安全に受け取れる優れた住宅設備で、再配達の手間を省いてくれます。仕事で帰りが遅くなってしまっても、あるいは急な外出で家を空けていても、荷物が届く時間に縛られることなく、安心して受け取ることができて非常に便利です。
外出先からスマートフォンで配達状況を確認できるタイプもあり、急な予定変更にも対応できます。新築時に、外壁と調和したスタイリッシュなデザインを選べば、家の外観を損なうこともありません。
スマートキー
最新の住宅設備として注目を集めているのが、非接触で出入りを可能にするスマートキーです。荷物で両手がふさがっている時や、幼い子どもを抱えている状況で特に重宝します。鍵を盗まれたり複製されたりするリスクが低く、安心感があります。顔認証機能を持つモデルもあり、セキュリティ面での強化が期待できます。
まとめ
今回は住宅設備について解説しました。住宅設備は快適な暮らしに欠かせない重要な要素です。給排水、空調、電気などの基本的な設備から、最新のスマート家電まで、選択肢は多岐にわたります。
設備選びの際は、ライフスタイルや使用頻度、メンテナンス性、コストなどを総合的に考慮することが大切です。また、設備の配置や寿命にも注意が必要です。適切な住宅設備を選択し、上手に活用することで、より快適で効率的な住まいを実現しましょう。