戸建て住宅の関する用語の一つに、「注文住宅」と「建売(住宅)」があります。住宅会社の広告や、住宅建設予定地などでよく見かける用語ですが、両者の違いについて正確に理解している方は少ないかもしれません。
注文住宅と建売にはどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、新築一戸建て住宅の分類や注文住宅と建売の大まかな違い、それぞれのメリット・デメリット、両者の比較について整理します。ぜひ、戸建て住宅を建てる際の参考にしてください。
Contents
新築一戸建て住宅の分類
新築一戸建て住宅は大きく分けると以下の3つに分類できます。
- 注文住宅
- 建売
- 建売分譲住宅
これらのうち、建売分譲住宅は土地と建物がセットになった物であり、間取りやデザイン、設備などの仕様がすべて決まっている住宅のことです。土地と住宅がワンセットになっているためわかりやすいですが、自由度はほとんどありません。
注文住宅と建売の違いについては、次のパートで詳しく解説します。
注文住宅と建売の違い
注文住宅と建売にはどのような違いがあるのでしょうか。両者の違いを端的にまとめます。
注文住宅とは
注文住宅とは、建物の設計を建築士に依頼し、施工会社と建築請負契約を結んだうえで住宅を建てる方法です。もっと簡単に言えば、土地を購入して住宅を建てるのが注文住宅だといってよいでしょう。
土地には建築条件があるものとないものがありますが、建築条件なしの土地が最も重度が高いですが、建築条件付きの土地であっても一から設計を依頼できるため、住宅建設の自由度は、かなり高いといえます。
建売とは
建売は、建売住宅(建売分譲住宅)のことです。土地と建物を最初からセットで購入するもので、建てられる住宅がある程度決まっています。そのため、注文住宅に比べると自由度が低くなってしまいます。
建売には、まだ建物が建っていない状態のものとすでに建物が建っているものの2種類がありますが、基本的には住宅が建っている状態で販売するのが一般的です。どちらの場合であっても、建築確認申請が住んでいる状態であるため、大幅な改変は困難です。
注文住宅のメリット・デメリット
注文住宅には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。具体的に見てみましょう。
注文住宅のメリット
注文住宅のメリットは「自由度」の高さです。主なメリットは以下の4点です。
- 土地を選択できる
- 間取りの自由度が高い
- 住宅建築のプロセスが見られる
- 住宅性能にこだわることができる
それぞれの内容をチェックします。
土地を自由に選択できる
注文住宅の場合、住宅を建てる土地を自分で選択できます。通勤・通学に便利な土地を選ぶこともできますし、住環境を重視して閑静な住宅街の土地に家を建てることもできます。子育て支援が充実している市町村の土地を選んで購入し、家を建てることもできるでしょう。
間取りや外観の自由度が高い
土地から選択できるということは、間取りの自由度も高くなります。明るさを重視するなら、南向きの面を重視して光を取り入れる設計を採用したり、料理を重視するなら料理がしやすいキッチンや動線にこだわったりすることもできます。注文住宅であれば、土地や間取りの自由度が高いため、自分のこだわりを徹底的に実現しやすいといえるでしょう。
自由度の高さは内部だけではなく外観にも及びます。典型的な日本家屋の外見にすることもできれば、洋風建築でおしゃれな外観にすることもできます。なぜなら、建築材や内装なども指定できるからです。
住宅建設のプロセスが見られる
注文住宅の場合、更地の状態から家を建てるため建築のプロセスを自分の目で見ることができます。工事の期間中に建設現場に足を運び、中の様子を見られるため安心感が増すでしょう。
また、図面のなかだけでしか示されてこなかった自分の家が、形になる過程を目の当たりにできるため、完成した後の愛着もわきやすいのではないでしょうか。
住宅性能にこだわることができる
住宅性能の詳細にまでこだわれることも、注文住宅のメリットです。主な住宅性能は以下のとおりです。
- 断熱性
- 気密性
- 耐震性
断熱性能は住宅の住み心地の良さを左右する重要なポイントです。断熱性能が高いほど、冬は暖かく夏は涼しい住宅となります。
断熱性と同じくらい意識したいのが気密性です。気密性とはすき間が少なく、外気が流れ込みにくく室内の空気が外に出にくい性質のことです。高断熱・高気密の住宅は、外気温の影響を受けにくいため住宅の快適性が増すのです。
耐震性も住宅の重要な要素です。2024年1月1日に発生した能登半島地震で、耐震性が低い住宅の多くが倒壊しました。家族の安全を守るという観点からも、耐震性能は譲れない機能といえます。
注文住宅であれば、断熱性・気密性・耐震性などについて自分の満足できる設定をすることができるでしょう。
注文住宅のデメリット
注文住宅には多数のメリットがありますが、注意すべき点もあります。ここでは、注文住宅の注意点について解説します。
おもな注意点は以下のとおりです。
- 予算が膨らむ恐れがある
- 出来上がるまでに時間がかかる
それぞれの詳細についてみてみましょう。
予算が膨らむ恐れがある
注文住宅で最も心配になるのが予算です。自分のこだわりを名いっぱい詰め込んだ注文住宅を建てようとすれば、相応の予算が必要となります。あれもこれもとすべての設備をつけてしまうと予算オーバーになるかもしれません。
予算内で費用を収めるためには、設備や性能の優先順位をつけることが大切です。最も重要な機能やこだわりたい点は何か、家族とも話し合って優先順位をしっかりと決めておきましょう。
出来上がるまでに時間がかかる
注文住宅は土地探しからスタートするため、すでに土地と建物が用意されている建売に比べると時間がかかります。物件や建築内容にもよりますが、住宅建設まで1年前後の期間がかかると考えてよいでしょう。
既製品を組み合わせず、独自の仕様が多ければ多いほど建築の手間がかかるため、建売に比べると建築そのものにも時間がかかります。また、土地の取得などで様々な契約をしなければならないため、契約が煩雑になるというデメリットもあります。注文住宅は建売よりも時間がかかると覚えておきましょう。
建売のメリット・デメリット
注文住宅と対比されることが多い建売ですが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。ここでは、建売のメリット・デメリットについてわかりやすくまとめます。
建売のメリット
建売のメリットは以下のとおりです。
- 総額がわかりやすい
- 実物を見て購入可能
- 早く入居できる
それぞれの内容を詳しく見てみましょう。
総額がわかりやすい
建売は、土地と住宅がセットになっているため総額を把握しやすいというメリットがあります。後付けのオプションを選択しない限り、予算総額が増えないという点も建売ならではのメリットといえるでしょう。
一般的に見て、建売は注文住宅に比べると低コストで購入できます。国土交通省が公表した『令和4年度 住宅市場動向調査報告書』によると、注文住宅の平均購入資金は5,436万円であるのに対し、建売(分譲戸建住宅)の平均購入資金は4,214万円と約1,200万円の開きがあります。コスト面を重視するなら、建売の方が低コストで購入できます。
実物を見て購入可能
建売は、すでに出来上がっている住宅を見てから購入を検討できます。注文住宅の場合、出来上がりを想像する方法が間取り図や3D画像を見ることだけであるため、完成がイメージしにくいというデメリットがあります。それに対し、建売はすでに出来上がっている実物が目の前にあるため、判断しやすいのです。
また、実物を見てから購入を決定しているため「こんなはずじゃなかった」といったイメージと実物のギャップで後悔するといったリスクを減らすことができます。
早く入居できる
建売は、すでに住宅が完成している状態であるため、注文住宅よりも早く入居できます。早ければ1~2カ月程度で入居することもできます。
会社への通勤手段の変更や子どもの入学や転校などを考慮し、速めに新居を手に入れたいというのであれば、建売にしたほうがよいでしょう。
建売のデメリット
コスト面や実物を見て選べる点、すぐに入居できる点などはすでに住宅が出来上がっている建売ならではのメリットといえます。しかし、建売にも注意点がいくつかあります。主な注意点は以下のとおりです。
- 間取りや設備を変更しにくい
- 周囲と似た外観になる
- 建築過程がわからない
- それぞれの内容についてみてみましょう。
間取りや設備を変更しにくい
建売は、すでに完成した住宅を販売しているため間取り変更が困難です。設置できる設備が限定されていることもあるため、注文住宅に比べるとかなり自由度が低いといえます。どちらかといえば、居住者が住宅のスペックに合わせるというスタイルになります。
自分の中で怖っている要素と建売の間取り・設備が一致する場合は購入するメリットが大きいですが、自分の希望と合わない点が多ければ、購入を見送った方がよいかもしれません。自分のライフスタイルに合わせた住宅を建設したいのであれば、注文住宅の方がよいでしょう。
周囲と似た外観になる
建売は、ある程度規格が決まっているため周囲と似た外観になりやすいというデメリットがあります。住宅分譲地などを訪れたことがあれば気づくかもしれませんが、同じような見た目の住宅が多数並ぶこともあるため、自分だけの個性を発揮するのはなかなか難しい状況です。住宅の外観で個性を出したいなら、注文住宅の方がよいでしょう。
建築過程がわからない
建売の場合、すでに建築が終了した建物を販売していることが多いため、建築過程を見ることができません。そのため、どのような建築資材を使っているのか、どの工法で建てられたかがわかりにくくなっています。
注文住宅と建売、どっちが向いている?
注文住宅と建売のどちらにするべきか、迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、注文住宅に向いている人と建売が向いている人を紹介しますので、選ぶ際の参考にしていただきたいと思います。
注文住宅が向いている人
注文住宅に向いているのは、以下のタイプの人です。
- 住宅づくりでオリジナリティを発揮したい人
- 時間に余裕がある人
- 自分の好きな土地に家を建てたい人
- 住宅性能にこだわりたい人
外観や住宅の内装で、自分のオリジナリティを発揮したいのであれば注文住宅の方が向いています。建売のように画一的な外観を避けたい場合も注文住宅の方が、自分の好みの外観で家を建てられるでしょう。
時間に余裕がある人も注文住宅が向いています。建売と異なり、土地の購入からスタートするため住宅が出来上がるまで時間がかかってしまうからです。時間にゆとりがあり、様々な手続きをおこなうだけの余裕があるのであれば、注文住宅の方がよいでしょう。
自分の好きな土地に住宅を建てられるのも注文住宅のよさです。しかし、どの土地でも住宅が建てられるというわけではありません。購入を検討している土地が、住宅を建てられる土地なのか事前に確認しておきましょう。
耐震性や断熱性、気密性といった住宅性能にこだわる場合も注文住宅の方が向いています。長期優良住宅の基準を満たす建物を建て、住宅を資産として保有したい場合も注文住宅の方がよいでしょう。
建売が向いている人
建売が向いているのは、以下のタイプの人です。
- できるだけ早く引っ越したい人
- 住宅購入に手間暇をかけたくない人
- 間取りやデザインに強いこだわりがない人
少しでも早く新居に引っ越したいのであれば、建売の方が向いています。すでに建築された住宅を購入するため、住宅建築が終わるまで待つ必要がないからです。
住宅購入にあまり時間を取られたくない人も、建売の方が向いています。建売は規格が決まっているため、自分で考えることが少なく時間がない人でも購入しやすいといえるでしょう。バリエーションが少ないということは、決断するときに考えなければならない要素が少ないことでもあるため、住宅購入に関する時間を短縮することができます。
間取りやデザインにあまりこだわりがない場合も、建売の方が向いています。周囲と似た外観であることや、間取りが一般的なものであってもあまり気にならないというのであれば、コストを下げられる分、注文住宅よりも建売のメリットが大きいといえます。
まとめ
今回は注文住宅と建売の違いについて解説してきました。せっかく住宅を建てるのだから、こだわりの住宅にしたいという気持ちはとてもよくわかります。しかし、コスト面を考えると建売のメリットも小さくありません。
予算よりも住宅性能やこだわりを実現したいというのであれば、住宅ローン破綻につながらないよう、資金繰りを入念に練っておく必要があります。頭金をできるだけ多くして、月々の支払いを小さくできれば理想に近い注文住宅を購入しやすくなるでしょう。
その一方で、住宅に関するこだわりよりも一戸建てに住みたいという気持ちが強い方もいらっしゃるでしょう。できるだけリーズナブルに一戸建てを建てたいと考えているのであれば、コストが比較的低い建売を選択するのが無難です。 どちらを選択するにせよ、自分の現在の支払い能力と住宅に対するこだわりを比較検討し、実現可能なプランで住宅を購入する必要があるでしょう。
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